B1第6節のホームゲームを翌日に控えた11月3日、茨城ロボッツはジェームズ・アンドリセヴィッチスーパーバイジングヘッドコーチの解任を発表した。第5節までの9試合で未勝利。シーズン開幕から1カ月も経たないうちに新指揮官がチームを去り、茨城は仕切り直すこととなった。
クリス・ホルムHCに指揮を託して迎えた第6節も、第1戦は長崎ヴェルカの波状攻撃を止めることができず、連敗は10に達した。そんな中でも、チーム最多の23得点を叩き出した山口颯斗の奮闘は光った。レバンガ北海道で主力の1人として活躍し、茨城に加わった昨シーズンも54試合でスターター起用。今シーズンも開幕戦の21得点を皮切りに、第5節までの9試合中5試合で2ケタ得点と、茨城のオフェンスの一翼を担ってきた。
ウィングの日本人選手としてはサイズがあり、機動力も兼ね備える山口は、茨城のように全体的に小さめで、速い展開のスタイルを志向するチームにとっては貴重な存在。山口自身、「トランジションオフェンスが得意なので、ロボッツのバスケットは合ってますし、高校や大学で積み上げてきたものをより生かせているという感じがあります」と感触はかなり良く、「それでチームの責任も背負わせていただいてるので、非常にやりがいがあります」と高いモチベーションでバスケットと向き合っているようだ。それだけに、チームの結果がついてこないのはもどかしい思いだっただろう。
しかし、長崎との第2戦で、茨城はようやく今シーズン初勝利を挙げる。前半は長崎の切り替えの早さへの対応が遅れ、得点したほんの数秒後に簡単に失点してしまうケースが度々見られたが、前半の最後の約1分で流れをつかみ、逆転に成功して折り返し。後半は中村功平の3ポイントに加え、アンガス・ブラントの高さやチェハーレス・タプスコットの突破力も要所で生き、ディフェンスの強度を上げて再逆転を狙う長崎をかわしきった。
ゲームMVPはチーム最多の23得点を挙げた中村に譲ったものの、山口の働きもチームに勝利を呼び込む大きな要因となった。35分1秒という出場時間は今シーズン最長であると同時に、この試合の両チームを通じても最長。16得点は中村に次ぐチーム2番目の数字であり、11リバウンドはブラントと並んでゲームハイ、6アシストは単独でゲームハイだった。195cmのオールラウンダーのフル回転は、確実にチームを勢いづけた。
「うちと長崎は走り合いのバスケットになると思うんですが、今日は今シーズン初めて40分間走ることができた。最後まで僕らが走れて、それで勝てたのかなと思います。ホームの後押しもあってロボッツは全員気持ちが入ってましたし、功平さんたちが良いシュートでつないでくれたおかげで、自分たちの時間帯を多く作れたと思います。
昨日は自分のシュートが全て入って、今日は相手のプレッシャーもあって入らなかったんですが、それで僕がおとりになれればと思ってプレーしたので、その面で6アシストできたと思います。ディフェンス面、特にリバウンドは先週もそこで負けてしまいましたし、昨日も大事なところでオフェンスリバウンドでつながれてしまって、今日は得点が取れなくてもリバウンドとか他の部分で貢献することが大事だと思って臨みました」