スコット不在によりピック&ロールから打開できず、本来のオフェンスを封じられた河村はSR渋谷や、東海大学の先輩であるベンドラメのディフェンスの印象をこのように感じている。
「やっぱりルカヘッドコーチはアルバルク(東京)時代もかなり強いディフェンスをしていました。サンロッカーズでも、その組織的なディフェンスはかなり素晴らしいものがあると思います。ベンドラメ選手はディフェンスにも長けた選手であり、今回対戦してあらためてその素晴らしさやディフェンスでの脅威さを感じられた試合でした。また、次に対戦するときが楽しみな選手のひとりだと思っています」
前節の琉球ゴールデンキングス戦では、「僕が1番ベストのディフェンダーと思っているのはヴィック・ロー選手」と名を挙げた河村は、どのチームもハードにディフェンスしてくるチャレンジを楽しみながら成長につなげるとともに、何よりも勝利を欲している。
昨シーズンの活躍が鳴りを潜めるジョシュ・スコットの現状
欠場したスコットだが、「週末の広島(ドラゴンフライズ)戦へ向けて準備できるように調整している」と青木ヘッドコーチは述べ、心配はなさそうだ。しかし、これまでのスタッツは平均3点、リバウンド5.5本と昨シーズンの宇都宮ブレックスで見せた活躍(平均11.7点、10本)がまだ鳴りを潜めている。
現状について、「スピードやバスケット自体も変わっているところがあり、お互いの合わせの部分での課題はまだある」と指揮官は続ける。河村も、「スコット選手のロールのスピードに対し、僕からドライブのスピードを合わせてホットラインを作っていかないといけないと思っています」と試行錯誤していた。アウトサイドでのプレーが得意なジェロード・ユトフとのコンビは確立されつつあり、この日はシュート精度こそ高くなかったが、それでも15点を挙げている。青木ヘッドコーチは河村と森井健太とは、練習から密に話し合い、チームケミストリーを高めている最中である。
スタッツにこそ現れていないスコットだが、「良いスクリーンをかけたり、しっかりと相手に対して嫌がられるようなディフェンスをしてくれたり、リバウンドでは自分が獲れなくても相手と戦って、チームとして獲れれば良いというマインドの持ち主。しっかりとチームに貢献してくれている部分はたくさんある」と青木ヘッドコーチは評価する。スコットにとっても、前節で古巣の琉球に勝利した試合、翌日に負けた試合はコート上で、そしてSR渋谷戦はコートから離れたことで、横浜BCで必要なことを見つめ直す機会になり、その本領を発揮する日も近いはずだ。
長いシーズン中は、連敗することも少なくはない。「そこからどうカムバックできるかどうかが大事であり、チームとしてそれを次のホームゲームで表現していきたい」と青木ヘッドコーチは下を向かせることなく、すぐさま気持ちを切り替えていた。2連勝と波に乗るSR渋谷も、次節は西地区の佐賀バルーナーズを迎えるホームゲームが待っている。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE