「最高に面白いです。Bリーグに戻ってきたタイミングで、富樫(勇樹)がいる千葉Jとまた対戦して、先週は地元にも帰らせていただいて、今週はルカという面倒を見てくれた人や大貴がいて、本当に運命ってあるなって思います。すごく楽しみながらBリーグ生活を送らせていただいてます」
それとは異なる意味でも、Bリーグに戻ってきたこのタイミングは馬場にとって良いタイミングだった。ワールドカップの結果によって来夏のパリオリンピック出場が決まり、日本のバスケット界は一段と盛り上がった。多くのクラブでホーム開幕節のチケットが完売し、クラブ最多入場者数の記録を更新するなど、その影響は絶大。A東京在籍時よりも注目度が確実に増していることを、馬場は実感している。
「僕が以前プレーしていた頃に比べると、ファンの方の熱意もありますし、リーグとしても年数を経てきてかなり確立してきてると感じます。子どもたちが目指す良いリーグになってきて、選手としてプレーしていて最高なリーグになってきてると思いますね」
ただ盛り上がっているだけでなく、競技の面でも「当時はもう少し勢力に偏りがあったかなと思いますが、今はどのチームもスタイルを確立して拮抗している」と全体のレベルアップが感じられるとのこと。もちろん、長崎もそのうちの1つであり、ここからそれを証明していくことになる。
翌日のSR渋谷との第2戦、前半は前日とスコアも近く、同じような展開で折り返したが、この日は後半もヴェルカスタイルを貫くことができ、91-74で勝利した。馬場自身も、勝負どころで田中に得点を許した前日のディフェンスを修正。ワールドカップで見られた右肩のテーピングはまだ取れておらず、現状では今も出場時間は制限されているということだが、概ね及第点のパフォーマンスだったようだ。
何より、冒頭に挙げた「B1優勝を狙えるチーム」という言葉を証明していく上でも、この勝利は馬場にとって、長崎にとって意味のあるものだったに違いない。
「僕たちはB1初年度のチャレンジャーとしてやっていく中で、開幕から4連勝した後に『面白いチームだね』という声を聞いたんですが、強いチームと言われるためにはこのSR渋谷戦をどうしても取る必要があったので、取ることができて良かったです。昨日と同じような展開から第3クォーターで追いつかれましたが、昨日の反省を生かしてリードを守ることができて、40分間戦いきることができたなと思います」
過去のB1では、昇格初年度にCS進出を果たしたクラブも、勝率5割をクリアしたクラブもまだない。長崎も現時点では7試合を消化したにすぎず、初めてのB1の舞台ではおそらくアップダウンもあることだろう。その中で、長崎がこれまでの昇格クラブと一味違うところを見せるには、馬場の経験値も必要になってくる。馬場がもたらすものによって、長崎はどれほどの高みまで上っていくことになるだろうか。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE