「ナイス!」と指差す先には、ジェロード・ユトフがNBAで最後に在籍したチームのロゴがプリントされていた。トータル16試合、約168分とはいえ、ユトフは世界最高峰リーグのNBAのコートに立った経歴を持つ。ダラス・マーベリックス、メンフィス・グリズリーズ、そして2019-20シーズンにはワシントン・ウィザーズでプレーした。ワシントンひと筋30年の筆者が来ていたTシャツは、ちょうどユトフが在籍していたシーズンのものであり、すぐさま反応してくれたのがうれしい。
同じシーズンにはメンフィスでもプレーし、傘下のハッスル(Gリーグ)では渡邊雄太(フェニックス・サンズ)と長い時間、苦楽をともにしていた。ワシントンでは八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)がチームメイトであり、「(馬場)雄大(長崎ヴェルカ)とも1週間ほどサマーリーグで一緒にワークアウトした経験がある」そうだ。
「彼らと一緒に過ごす時間の中で、多くの日本の文化について学びました。特に雄太が僕にいろんな日本の話をしてくれたことは、今でも覚えています。その機会がなければ日本を知ることも、こうして日本でバスケをすることもなかったかもしれません。彼らとプレーした経験が今、Bリーグでも活かされています」
Gリーグでのエリー・ベイホークスを最後に、2021-22シーズンより来日し、シーホース三河でプレー。昨シーズンは京都ハンナリーズで60試合すべて先発出場を果たし、平均17.2点。メンフィス・ハッスル時代の平均19点に次ぐ、キャリア2番目の活躍だった。「絶対に行った方が良いと雄太が言っていたとおり、本当にキレイで素晴らしい場所でした」と日本に来る予定もなかった3年前に話を聞いた京都でプレーしたのも何かの縁を感じている。
来日3年目の今シーズンは横浜ビー・コルセアーズへ移籍し、目標である初タイトル獲得へ向けた新戦力として迎えられた。竹田謙GMは、「非常に高い得点の能力を持った選手。特にアウトサイドからのシュート力、そして勝負強い得点力はチームにとっては大きなプラスとなる」と期待を寄せる。開幕戦は古巣の京都を相手に2連勝。ユトフはいずれも3本の3ポイントシュートを成功させた。