昨シーズンの思わぬ不振を受け、2023-24シーズンはタイラー・ガトリンヘッドコーチを招聘し、東京八王子ビートレインズは改めてB2復帰を目指す。外国籍選手は3人中2人が入れ替わったが、日本人選手は大幅な入れ替えもなく、戦力的には継続路線の印象が強い。
今シーズンのキャプテンを任されたのは、チームではデイビッド・ドブラスに次ぐ年長者である上江田勇樹だ。現在36歳の上江田は、三菱電機(現・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)ではルーキーながらスターターの一角を担い、その後千葉ジェッツで天皇杯優勝、新潟アルビレックスBBでB1中地区優勝、群馬クレインサンダーズでB1昇格と、勝利の経験を積み重ねてきた。当然ながら、その経験値の高さを発揮することをガトリンHCからも期待されている。
「彼は経験があるので、高いレベルで物事を見ることができる。選手同士でコミュニケーションを取る際にリーダーシップを取って、他の選手には見えていないところをカバーしてくれますし、初めて日本でプレーする外国籍選手を支えてあげることもできる。影響力があって、周りから頼りにされている選手です」
今回のキャプテン就任に関して、上江田は「どういうチーム作りをしていきたいかという話を(髙松僚)GMとした際に、やれるのであれば僕もやりたいし、お願いしたいと言ってもらえて、意見が合致しました」と証言。クラブ側の要望であったと同時に、自身の意欲も高かったようだ。加入2シーズン目、このチームを強くしたいという一心で、モチベーションは非常に高い状態。その言葉からは、指南役として周囲にしっかりと目を向けている様子も窺える。
「練習中からタイラーコーチとコミュニケーションを取りながら、できるだけみんなが迷わないようにというか、いろんなことをクリアにして、一丸となって戦えるチームを作りたい。そのために、キャプテンとしてやらなきゃいけない仕事がいっぱいあると思ってます。プレーでもそうですが、コートに出てないときでもチームのためにできることはたくさんある。若い世代にいろんなことを伝えながら、みんながキャリアを長く続けられればと思いますし、チームとしても成長していければと思って毎日過ごしてますね」
上江田ほどのキャリアのある選手となれば、その一挙手一投足が他の選手の手本となり、そのことは上江田自身ももちろん理解している。他の選手のあらゆるものを参考にし、成長の種にするということは、当の上江田自身がこれまでに経験してきたことでもあるからだ。特に新潟時代は、移籍した時点で30歳を超えていた上江田よりもさらに年上の選手が多く、しかも日本代表でも実績豊富な選手たちだった。彼らのバスケットに向き合う姿勢を見てきたことが、今の上江田に生きている。
「五十嵐圭さんとか柏木真介さんは日本を代表するトップの選手だったので、バスケットのいろはから試合に向けての準備から、本当に細かいことを肌で感じてきました。それをどうチームに落としていくか、当時の僕は落とされる側だったので頑張ってついていくことしかできなかったんですが、今となっては良いものを学んだなと思いますね」