「でも、雷太と自分は違うところはいっぱいあり、そこには良いところも悪いところもあります。悪いところはできるだけ消して、良いところだけを出していけるように日々の練習からがんばっています」
3年間、専修大学でコンビを組んでいた #23 キング開との息の合ったプレーも楽しみだが、「なんかありましたっけ?」と遠い記憶となっていた。「これから5on5の練習がはじまったら、専修らしいプレーを思い出すかもしれないですね」とその感覚をたぐり寄せつつ、それぞれが成長した新たなコンビが横浜BC躍進のカギを握る。
「1番高いところに目標設定しているので、今はワクワクしています」杉浦佑成
28歳となった杉浦は、横浜BCで5チーム目を数える。直近の3シーズンは、3チームを渡り歩いた。しかし、行く先々で挫折を感じていた。「島根(スサノオマジック)でも三遠(ネオフェニックス)でも金丸(晃輔)さんが移籍して来ることで自信がなくなり、三遠では実力不足でプレータイムが減り、滋賀(レイクス)も降格させてしまいました」とその心境を明かす。結果が出せず、自信も失っていった。
滋賀に残ってB2で自信を取り戻す選択肢もあったが、幸いにも横浜BCから声がかかる。「このチームは若いけど、それぞれが自分のできることや得意なことを知っているチームであり、これからさらに良くなって行くポジティブな印象を持っています。僕自身も、もっとガンガン行けるように気持ちから上げていき、みんなと一緒に上を目指していきたいです」と移籍を決めた。
学生時代の杉浦は常に日本一を目標に、チームを引っ張ってきた。福岡大学附属大濠高校時代は八村塁を擁する明成高校(現・仙台大学附属明成高校)の前に決勝で敗れたが、筑波大学では3連覇を経験。「優勝したときはチームのみんなが自信に溢れていて、ネガティブな雰囲気なんてなかったです。もう積極的にガンガン行っていました」と振り返り、当時と同じ感覚を横浜BCにも抱いている。
「大きくステップアップした横浜BCであり、新加入選手に対する期待も大きいと思っています。チームの目標はタイトル獲得です。最高の結果を手に入れるためにも、僕ができることを精一杯発揮していきたいです。1番高いところに目標設定しているので、今はワクワクしています」
同級生であり、キャプテンの #18 森井健太は「新しくなったユニフォームの似合う選手になって欲しい」と杉浦にエールを送る。ベテラン世代となる杉浦であり、これまでの経験を若いチームに注入することも求められる。「言葉で言うのはあまり得意ではないです。森井も同じタイプですが、アイツは練習後の自主練も率先して行い、今日のランメニューでも一生懸命な姿勢を見せていました。僕も一緒についていきながら、チームを引っ張って行けるようにしたいです」と寡黙にプレーするだけではなく、まわりと一緒に引き上げることで、自分の殻を破ることだってできる。
4年間で4回目の移籍となったジャーニーマンは、多くのチームに求められていると捉えることもできるが、プロ選手としてがけっぷちとも言える。覚悟を持って臨むシーズンとなり、杉浦にとってのターニングポイントとしてもらいたい。
「優秀なポイントカードが揃っており、ビッグマンや3ポイントが得意な外国籍選手もいます。一緒にプレーすることで、自分にもシュートチャンスが結構あると思っています。そこでしっかり決めきることで、相手も守りづらくなり、チームのオフェンスをより機能させるような働きをしていきたいです。外国籍のフォワード選手やエース級の日本人選手とマッチアップする機会も多いので、特にディフェンスでチームに貢献できるようにがんばっていきたいです」
文・写真 泉誠一