Bリーグは感情表現の豊かな選手が多く、横浜BCも気迫が表情やしぐさに表れる選手がいる。その中で、常に淡々とプレーしているように見える赤穂の存在はやや異質。「あまり緊張しないタイプ」と自覚しているように、CSでもそれは変わらず、平常心でコートに立っていることも赤穂の持ち味と言っていいだろう。
「練習でやってないことは出ないので、やっぱりいつも通りというのを心がけるのが大切だと思いますし、CSだからといって気負うわけではなく、いつも通りのプレーを心がけたほうが良いプレーができる。今回も気負わずに入れたのが良かったと思います」
その一方で、青木HCによれば「常に満足しないタイプの選手。チームに対しても、このままでは勝てない、これができれば勝てるというのを自分の経験と立場からしっかり発信してくれる。チーム全体が一喜一憂せず、危機感を持って戦ってこられたのは彼の存在が大きい」とのこと。「ああ見えて、結構他の選手をイジる」(青木HC)という人懐っこさもある赤穂は、マイペースのようでいて、プレー以外の面でもチームに貢献しようと力を尽くしているのだ。
赤穂といえば、バスケ一家に生まれたという事実にもやはり触れておきたい。父・真氏と姉・さくら(デンソー)は日本代表経験者。現在の代表の主力である双子の妹・ひまわり(デンソー)については「運動会のかけっことか、バスケ以外のところで負けたくないと思うことはありました。勉強は負けてたんですが(笑)、バスケに関しては自分は自分、向こうは向こうだと思ってて、特別意識することはないです。でも、向こうはすごく活躍してますし、自分も活躍したいとは思うので、刺激はもらってるなと思います」と言い、やはり良いモチベーションにはなっているようだ。仲の良い家族は大切な存在。ポーカーフェイスの赤穂も、家族に関する話をすると、自然と笑みがこぼれる。
「特にさくらとは連絡を取り合いますが、話してるだけで面白い(笑)。自分が迷ったり困ったりしているときに話すと、なんでこんなことで迷ってるんだろうってばかばかしく思えてくる。元気を貰えてるので、本当に感謝してます。試合を見に来てくれるのも嬉しいですし、食事に行くことも結構あって、良いリフレッシュになってますね」
支えになっているという意味では、ブースターの存在にも赤穂は目を向けている。とどろきアリーナでのクォーターファイナルも、ビーコルブースターは間違いなくチームの背中を押した。その存在も大きなモチベーションにし、赤穂はセミファイナルでの活躍を誓う。
「昨日今日、アウェーだったので人数は相手より少なかったと思うんですが、声と音は全然負けてなかったですし、アウェーの雰囲気は全然なかった。そこも本当にビーコルの強みなので、沖縄アリーナでも雰囲気作りをしてくれたら嬉しいです。残り試合も少ないので、もう少しブースターさんに頑張ってもらって(笑)、僕たちはプレーでそれに応えられるように頑張っていきたいと思います」
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE