チャンピオンシップ初出場の横浜ビー・コルセアーズにとって、クォーターファイナルは会心の連勝だった。相手の川崎ブレイブサンダースが外国籍選手2人を欠き、第2戦に関してはジョーダン・ヒースまで出場できないという非常事態に陥った影響もあったとはいえ、横浜BCの戦いぶりが見事だったことは事実。レギュラーシーズンが5連敗で終わった上、その最終戦で河村勇輝が負傷と、横浜BCにとってもネガティブな要素はあった。ただ、シーズン終盤には河村を欠いた戦いを経験し、CS直前も準備を怠らず、青木勇人ヘッドコーチと森井健太は「良い雰囲気で練習ができた」と口を揃えた。川崎の状況に関係なく、横浜BCは勝つべくして勝ったという印象だ。
クォーターファイナルで最もインパクトを残したのはおそらく森井。河村に代わってスターターを務めたとあって、その働きがカギを握るとみられていた分、その活躍が一層目立つものとなったのは確かだ。しかしながら、チームの勝利は決して1人の活躍によるものではない。横浜BCも例外ではなく、多くの選手がシーズンを通してチームに貢献した。このクォーターファイナルに関しては、赤穂雷太の貢献度の高さは森井に匹敵するレベルだった。
レギュラーシーズンで3ポイント成功率が23.6%だった森井は、この2試合で8本中6本成功。失礼ながら、数字だけで判断すればサプライズだ。そして赤穂も、レギュラーシーズンで24.3%の成功率だった3ポイントを第1戦で5本中3本成功。勝利を決定づけたバックカットからの得点と合わせ、赤穂の11得点はチームに勝利を呼び込んだ一因だ。
「ウィングが長くボールを持つチームスタイルではないですし、オープンのシュートを今日みたいにしっかり決めきれれば勇輝やデビン(・オリバー)がより攻められるようになる。今日は入ってくれて良かったです」
コーチ陣から「空いたら自信を持って打て」と言われているのは、森井と同じ。昨シーズンまで過ごした千葉ジェッツ時代とは異なる、チーム内での立ち位置にアジャストし、それがCSという大舞台で結果を残すことにつながった。
「自分より優れたシューターがいる場合はエキストラパスなどを考えてプレーしろということを千葉で2年間学んできたので、シーズン当初はその癖を抜くのに時間がかかったんですが、コーチから打っていっていいよと言われてきて、シーズン終盤はよりアグレッシブに打てるようになったという意識の変化はあったのかなと思います」