シーズン終盤に差しかかると、チームの置かれた状況がモチベーションを左右してしまうのは致し方ないことではある。ポストシーズン進出がかかっているチームであれば必然的にモチベーションは高まり、降格の危機に瀕しているチームはおそらくそれ以上に必死だろう。モチベーション維持が最も難しいのは、そのどちらにも関わっていないチームだ。第34節の時点でチャンピオンシップ進出の8チームが出揃い、残留争いも3チームに絞られたB1は、そんな “宙ぶらりん” の立場に置かれたチームが多い。
その1つ、三遠ネオフェニックスは第34節に川崎ブレイブサンダースと対戦。第1戦は川崎の中地区優勝決定を見届けることになったが、第2戦は0-10のランで先行されたにもかかわらず、その後は押し気味に試合を進め、91-75で勝利を収めた。昨シーズンから三遠でプレーする山内盛久は、「シーズンを通して自分たちのバスケットで戦い抜くという目標を持って今日のゲームに入ったので、最後まで戦う姿勢を40分間見せられたのは良かったと思います」と、高いモチベーションで臨んだことを証言している。
三遠は今シーズンを前に、選手・スタッフを大幅に入れ替える大改革を断行。シーズン終盤ではあるが、今はまだ新しいチーム作りの過程でしかない。チームとして今取り組まなければならないことが何であるかということを模索し、積み上げようとしているところだ。
「最後まで戦うということに対して誰も諦めてないですし、自分たちのバスケットをまだまだ追求できていないところがたくさんあるので、それに向かってチームとしてやるべきことをみんながしっかり遂行するように心がけてます。結果がどうこうというよりも、応援してくださっているファンの皆さんのために自分たちのバスケットを表現するということが、今の自分たちのベースにある。それを残り4試合もしっかり出していけるように、相手がどうこうとか、順位がどうこうということに関係なくやっていこうという話をしています。再スタート1年目という感じなので、チームとして思い描いた結果ではないと思いますが、自分たちのバスケットというものを諦めずにしっかり追求していきたいです」
山内個人に関して言えば、今シーズンは終盤戦からスターターに定着。ディフェンダーのイメージが強い山内だが、4月1日の富山グラウジーズ戦では3ポイント4本を含む20得点をマークし、同19日の同カードでは10得点に加えて12アシストも挙げるダブルダブルの活躍を披露するなど、得点とアシストの数字が上昇している。
そんな活躍ぶりについて本人に問うと、「特に変化はないですし、いつコートに出ても自分のやることは変わらないので、常に準備はしてます」という答えが返ってきた。ただ、琉球ゴールデンキングスやサンロッカーズ渋谷のときとは異なる自身の立ち位置を自覚し、そのマインドの変化にも良い感触を得ているようだ。