越谷に劣勢を強いられる中、コート上では「落ち着いて、自分たちのプレーに徹しよう」と岡田が声をかける。「チームプレーではなく、打ちたいときにシュートを打ってしまっていました。でも、そこでシュートが入る入らないではなく、プロセスが大事。ちゃんと自分たちのバスケットを遂行しているかどうかが、すごく大事なポイント。それは最後のプレーオフでも効いてくる」と岡田は考え、悪い流れを断ちきるための声がけがチームを蘇らせた。
B3からB2へ昇格し、今シーズンも首位通過できたが、けっして順風満帆ではないことを岡田は強調する。それを乗り越えられてきた要因として、「誰かひとりに頼りすぎていないことがアルティーリの強みであり、すごく良いところ」を挙げる。シューターとして、「良いパスと良いスクリーナーがあって生きるタイプの選手。なので、チームにとって良いことをすれば、自分にとっても良いことがあると思っています」と常に意識してコートに立つ。レマニスヘッドコーチが目指すバスケスタイルに対し、「しっかりチームプレーを遂行できれば、かなり高確率で良いバスケットができる。そういう意味では、すごく自信があります」と岡田は力を込め、最速でのB1昇格を目指す。
「なんか久しぶりにこういうシーン(プレーオフ)に来たなという感じがしています。昔は当たり前のようにプレーオフに出て、優勝争いをしていたような気がしていましたが、ここ最近は遠ざかっていたので非常に楽しみ」
「チャレンジャーとして、力強く1回戦を迎えられるように準備していきたい」桜木ジェイアール
B2東地区2位で続く越谷も、ベテランと若手のバランスが良いチームである。首位の座をA千葉に明け渡してしまったが、「プレーオフに向けて勢いをつけるためにも大事な試合であり、しっかり勝ちたかった」とスーパーバイジングコーチ兼任選手の桜木ジェイアールはラストゲームに懸け、自身もコートに立った。最大15点をリードした第3クォーター、「たくさんのファンの方々が会場を埋めていたこともあり、若い選手はもしかしたら緊張して、いつも通りのプレーができないかもしれない」と桜木コーチは駒沢颯に代え、長谷川智也を後半の最初に起用する。長谷川や菊地祥平が率先してルーズボールを追いかけ、ゲームの主導権を奪い返して逆転に成功。お膳立てができたところで駒沢と鎌田真の若手を投入する。ベテランと若手の融合によって勝利をつかみ、プレーオフへ向けて弾みをつけることができた。
桜木コーチは「これからプレーオフに入るがチャレンジャーとして、力強く1回戦を迎えられるように準備していきたい」と述べ、幾度となくこの舞台を勝ち抜いてきた経験を注入する。その隣には、昨シーズンのB1チャンピオンを率いた安齋竜三アドバイザーがおり、東島奨ヘッドコーチとともに二人三脚で悲願のB1昇格へ向かう新たな戦いがはじまる。
B2プレーオフへ進んだ8チームは5月5日または6日より初戦を迎え、3戦2先勝方式で行われる。
アルティーリ千葉(東地区1位)vs 青森ワッツ(ワイルドカード下位)
長崎ヴェルカ(西地区2位)vs 熊本ヴォルターズ(西地区3位)
越谷アルファーズ(東地区2位)vs 西宮ストークス(東地区3位)
佐賀バルーナーズ(西地区1位)vs 福島ファイヤーボンズ(ワイルドカード上位)
文・写真 泉誠一