横浜ビー・コルセアーズが、チャンピオンシップへの最後の切符を手にした。それをアシストする形となったのが、80-88で敗れた新潟アルビレックスBBである。「40分間の中で、34分までは自分たちのバスケを遂行できていた」とコナー・ヘンリーヘッドコーチは、勝利の手応えを感じていた。しかし、大事なラスト6分に「少し選手がレフェリーと戦ってしまうようなところも見られた。最後の最後に噛み合わず、勝利に達することができなかった」と悔やむ。これで(9勝)45敗目。B1最下位の現状に対し、「この順位も、今日の試合を勝ち切れなかったこともすべて、自分の責任である」とヘンリーヘッドコーチは受け止めていた。
昨年11月25日にアドバイザリーコーチとして来日。約3週間後、体調不良により休養を取っていた平岡富士貴ヘッドコーチに代わって、シーズン途中からヘッドコーチに就任。昇降格のないオーストラリアNBLやアメリカNBAなどで実績を積んできたヘンリーヘッドコーチだが、「チームに加入したときから、残留争いのことは認識していた」と覚悟を持って、選手と一緒にチャレンジしている。
「毎試合ハードにチームとしてプレーすることを目指している」と情熱を注ぎ、その言葉どおりの戦いが横浜BC戦でも見られた。第3クォーターまでは、ディフェンスを武器とする横浜BCを上回る気迫を見せ、リードしていた。「若いチームなので試合ごとに学びながら、ゲームプランをしっかり遂行していくことを念頭に置いている。しかし、今日もそうだが、最近は第4クォーターのところで勝ち切ることができない試合が続いている」のが現状だ。勝てない新潟だが、「若くても素晴らしい技術やメンタルを持った選手がたくさん集まっている。一人ひとりの才能を活かしながらチームとして遂行し、勝利を目指したい」とヘンリーコーチは選手たちを誇りに思い、そして全力を尽くしている。
若い選手ばかりではない。35歳の綿貫瞬がコートに立てば、オフェンスではプレーを落ち着かせ、ディフェンスでは前線から身体を張ってプレッシャーをかける。新潟ひと筋、39歳の池田雄一も同様であり、「彼らが一番ゲームを理解し、経験も豊富である。コートに出たらチームをひとつにし、若い選手たちをリードしてくれる大切な存在」とヘンリーヘッドコーチも信頼を寄せる。試合終盤で崩れてしまう課題に対し、「勝敗がかかる展開では、綿貫選手のようなベテランをコートに立たせてチームをリードしてもらう判断もできたかな」とヘンリーヘッドコーチは自分のミスを認めていた。しかし、若い選手たちにも経験を積ませなければならず、あの場面でしっかり勝ち切れば大きな自信になったはずだ。ヘンリーヘッドコーチは結果を求めつつも、選手の成長も同時に促している。
レギュラーシーズンも残るはたった6試合。9勝しか挙げられていない新潟が最下位、続く12勝で富山グラウジーズ、13勝の滋賀レイクスが厳しい状況にいる。富山と滋賀の残るホームゲームは、それぞれ2試合のみ。しかし、新潟は今週末に富山を迎える直接対決とともに、最終戦もホームゲームでブースターと一緒に戦える。どのチームも気持ちを前面に出して、このラビリンスから這い上がるしかない。ヘンリーヘッドコーチはブレることなく信念を持って、目の前の試合へ向けた準備をする。
「サイズがなくても自分たちが若くても、最後まで自分たちのバスケを徹底し、遂行し切らなければいけないのは、これまでもこれからも変わらない。そこにフォーカスしていくだけである。残る6試合がどれだけ自分たちにとって、このクラブにとって大事かは理解しており、勝利に向かってチーム一丸となって進んでいく」
文・写真 泉誠一