レバンガ北海道が佐古賢一ヘッドコーチの契約解除を発表したのは2月7日のことだ。アウェーで島根スサノオマジック戦を消化した2日後であり、その後の宇都宮ブレックス戦を終えると3週間余りの中断期間に入ることを考えれば、なんとも中途半端なタイミングという印象も受けるが、その時点で8勝28敗、勝率.222で東地区最下位という成績。昨シーズンまでと違い、リーグ全体の下位2クラブが自動的にB2降格となってしまう以上、早いうちに何らかの策を講じなければならないのも当然のことだ。
HC代行として後を託されたのは、北海道に加わって3シーズン目の小野寺龍太郎アシスタントコーチ。宇都宮との第2戦では早速勝利という結果を出し、中断期間明けの3月は4勝3敗と勝ち越してみせた。4月も下旬に差しかかった現時点で、チームは16勝38敗。まだB2降格圏を完全に脱しきれていないとはいえ、HC代行就任後の8勝10敗、勝率.444という成績は、その重責を十分に務め上げていると言っていいだろう。
その小野寺HC代行に話を聞く機会が3度あった。1度目は就任4試合目の千葉ジェッツ戦。久しぶりに指揮を執ることとなり、HCとしての感覚をどれくらい取り戻しているのかという点を語ってくれた。選手に試合勘があるのと同様に、選手交代の判断、タイムアウトを取るタイミング、戦術の見極めなど、実際に試合をしなければ失ってしまう感覚がHCにもある。
「4シーズンぶりか……最初の宇都宮とのGAME1は少し緊張もしました。感覚とか判断のタイミングといった部分は、ACをやっていた中で見えていたものと、今の状況で見えるものは同じようであっても違う視点を持たなきゃいけないというところがありますし、以前HCをやっていた頃の僕のスタイルとかチームとして求めるもの、必要なものは今と違うんですが、その部分では選手やスタッフとコミュニケーションを取りながら進められているので、すごく助かってます。まだ結果につながっているとは言えないですけれども、判断はしやすい状況にいると感じてます」
bjリーグ時代のバンビシャス奈良を皮切りに、小野寺HC代行は4チームを率いた経験を持つ。計5シーズンのHC業は必ずしもチームを好成績に導いたわけではないものの、経験値としては十分。かつて開催されていたアーリーカップでは、信州ブレイブウォリアーズの指揮官としてB1チームを撃破したこともある。
当然ながら、チームが違えば置かれた状況も異なり、今回に関してはシーズン途中での就任という難しさもあるが、まずはB1残留という大きなミッションのために取り組まなければならないことがあるということを強く意識。勝利という目的のために、今のチーム1人ひとりの持ち味を最大限に引き出すことが、小野寺HC代行の念頭にある。
「佐古さんがいらっしゃったときとは選手の入れ替わりもあって、求めるものも少しずつ変わっていくとは思うんですが、チームや選手がステップアップしていくことも大事な一方で、とにかく1つでも多く勝つことの大事さもみんな理解しています。結果につながるように、今の選手に合ったものを作っていかないといけない。佐古さんがやっていたことを継続しつつ、例えばサム(サムソン・フローリング)を生かせるような戦術とか、選手の特徴により特化していくようなことができればと思います」