どちらの指揮官も、ディフェンスには及第点を与えた。40分の戦いが終わった時点で、1点でも上回れば勝利を手にすることができる。だが、40分の戦いの中、どこかのタイミングで流れをつかめば、勝利を引き寄せることだってできる。青木ヘッドコーチは「前半のターンオーバーに尽きる」と敗因を挙げた。総数15本のうち、11本のターンオーバーを前半で犯している。そのミスを確実に突いた川崎に18点差をつけられた。一方、最後の10分間で2点差まで詰められた川崎もまた、「やっぱりターンオーバーですかね」と佐藤ヘッドコーチは同じ課題を指摘する。横浜BCのプレスディフェンスの対策はしてきたが、それを上回る気迫で横浜BCに追い上げられた。
「神奈川ダービーはどんどん盛り上がっているので、明日も簡単な試合にはならない。毎試合が激戦なので、ワンポゼッション毎しっかり戦っていきたい」と佐藤ヘッドコーチは気を引き締める。そのとおりに、どちらに転ぶか分からない接戦となったが、ホームの川崎が連勝で凌いだ。
中地区首位決戦となった神奈川ダービーについて、青木ヘッドコーチは「僕も神奈川で育ち、バスケットで神奈川が盛り上がるためにも、ようやくこのダービーにしっかりと絡めるところまで来たのかなと思う。本当に気持ちの入った神奈川ダービーだった」と感慨深い。2勝30敗で大きく負け越しているが、森川も神奈川ダービーへの手応えを感じていた。
「やっぱり神奈川ダービーはすごく盛り上がる試合です。特に今シーズンは、首位を争うヒリヒリした状況の中での試合となり、プレッシャーを感じると同時に、僕ら選手も楽しめています。声援も解禁され、本当にすごい雰囲気の中でプレーでき、あらためて幸せなことだと思います。結果だけではなく、バスケットで神奈川を盛り上げることがすごく大事なので良いライバル関係になっていきたいです」
チャンピオンシップの組み合わせをシミュレーションすれば、現状では西地区や東地区に勝率で大きく離される中地区ゆえに、いきなり神奈川ダービーから幕開けする可能性が高い。2連勝したあと、川崎の篠山竜青は「だからこそ簡単に負けてはいけない、横浜BCに苦手意識を与えないといけないと思いました」と述べ、先を見据えた戦いでもあった。
出場時間平均30分を超える選手がいない横浜BCであり、これまで青木ヘッドコーチは多くの選手を起用しながら戦ってきた。しかし、ケガ人が多い状況であり、接戦の神奈川ダービーでは「少しローテーションが少なくなってしまった」と言うのも否めない。「今までもベンチメンバー全員をセカンドユニットとして起用してきたので、こういう状況のときにこそ、その強みを出していきたい。この4月を乗り切れれば、5月には一番強いビーコルになっている」と全員バスケで耐え忍ぶ。悲願のチャンピオンシップ初出場までのマジックは5に迫った。
文・写真 泉誠一