神奈川ダービーの戦績は28勝2敗(※4月7日時点)で川崎ブレイブサンダースが、横浜ビー・コルセアーズを圧倒してきた。「僕らが勝ち越してはいますが、いつもどちらに転ぶか分からない試合が続いています」と川崎の藤井祐眞が言うように、レギュラーシーズン最後の神奈川ダービーも激しい試合となる。「しかも…」と藤井は続け、これまでとは違う会場の雰囲気に高揚していた。
「しかも声出しが解禁され、立ち見席も用意されていつも以上にお客さんが入ってくれました。これまで以上にアリーナが盛り上がっていると感じ、試合をしていても本当に楽しかったです」
連日5千人を超え、4月9日は5,310名と川崎の最多入場者数記録を更新。ファンの声援が、さらに神奈川ダービーを熱くさせた。土曜日は77-69、日曜日は79-77と接戦となるが、いずれも川崎が勝利し、チャンピオンシップ出場に王手をかけた。
横浜BCは河村勇輝が、川崎はマット・ジャニングがそれぞれケガをしており、今シーズンのキープレーヤーを欠いた両チーム。どちらも気合いが入るのは当然だが、前回3月15日に71-81で敗れた川崎が負けられない気持ちが上回って臨んだ4月8日。第3クォーター終盤、この試合最大となる18点差に広げる。「ディフェンスから入ってリズムを作ろうと伝え、交代で入ってきた選手も含めてしっかりと相手のどこを守るかを遂行し、ベースとなる強度のところを非常に集中力高く戦ってくれた」と川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが言うとおりの展開だった。
藤井ら先発メンバーがリズムを作り、納見悠仁やマイケル・ヤングジュニアらベンチメンバーは交代するや否や攻守に渡って活躍。しっかりとバトンをつないで点差を開いていく。ジャニングが不在の中、熊谷尚也と長谷川技が「サイズとフィジカルを活かしたディフェンスから入ってくれた」と佐藤ヘッドコーチの期待に応える。「まずディフェンスを意識し、相手に気持ちよくプレーさせないことを心がけました。少しはうまくいって良かったです」という熊谷は、前回の悔しい神奈川ダービーを欠場していた。「前回はベンチから見ていて自分ができることをイメージしていたので、今日の試合はしっかりとコートに入ることができて良かったです」と準備し、オフェンスでも果敢にアタックしていた。
川崎同様、横浜BCも今シーズン磨きをかけてきたディフェンスでは負けていない。「3つのクォーターを20点以下に抑え、失点も80点以下で終われたことは、今の状況でもしっかりと戦うことができた。ディフェンスでは、プランしていたとおりに遂行できた部分がいっぱいあった」と青木勇人ヘッドコーチは評価する。須藤昂矢とデビン・オリバーは3つのスティールを奪い、18点差をつけられてもあきらめないディフェンスで横浜BCを蘇らせた。
第4クォーター、フルコートプレスディフェンスを仕掛けた横浜BCが立て続けにチャンスを作り、森川正明が次々と3ポイントシュートを沈めていく。第3クォーター終了時点で16点開かれた横浜BCだったが、最後の10分間でその差をみるみると縮めていく。残り1分26秒、オリバーの3点シュートで69-71、2点差に迫る。