マクヘンリーにマッチアップされ、ドリブルを突けばダブルチームを仕掛けられた河村自身は、「1on1で打開したいと思っていました。最後に3ポイントシュートを決めることができたのも、ピックではなく1on1で振り切って打つことができました。マクヘンリー選手は素晴らしいタフなディフェンスをしてきましたが、1on1では自分の方が分はあると感じていました」と戦況をしっかりと見極め、ゲームを支配する。前半で10点のビハインドを背負った横浜BCだったが、後半に山場を作って84-74とし、逆に10点差をつけて勝利。追いかける信州を2連勝で退け、横浜BCは悲願のチャンピオンシップ初進出へ向けたカウントダウンがはじまった。
青木勇人ヘッドコーチが蒔いてきた種が芽を出しはじめた春
この日、ルーキーの松崎裕樹がはじめて先発で起用された。5千人を超えた横浜国際プールでは、「ザッキー」と声援が飛び、その愛称も浸透しはじめている。最初の4分強だけの出場であり、無得点に終わったが積極的に2本の3ポイントシュートを放っていった。「これも蒔いている種のひとつ」という青木ヘッドコーチは、横浜BCに戻って来た昨シーズンからベンチメンバーをどんどん起用している。当事者意識を持たせ、常に全選手を試合へ関わらせてきたことで芽が出はじめている。この試合も劣勢の中でチームを勢いづけたのは、パトリック・アウダや森川正明らベンチメンバーだった。今月よりケガから復帰した大庭岳輝は「河村選手や森井選手よりも多い、チーム最多の5アシストを決め、新たな一面を見せてくれた」と青木ヘッドコーチは評価し、全員が特徴を活かして勝利に貢献できている。
勝久ヘッドコーチにとっては古巣となる横浜BC。「河村選手をはじめ、本当にチームが変わった。彼だけではなく、まわりのメンバーも1人ひとりの役割が本当にしっかりしていて、コーチ陣も今シーズンは素晴らしい仕事をしている。4連敗に終わって本当に悔しいが、今シーズンの彼らは素晴らしい」と称えていた。
残りは15試合、中地区2位の横浜BCとの差は8ゲームと開いてしまった。ホーキンソンが帰化したが、外国籍選手が相次いでケガに見舞われており、戦力が整わないままの戦いが続いている。これまでも同じような状況であり、完璧なロスターで戦えたらどれほど強いのかと思うほどポテンシャルは高い。3ポイントシュート成功率を上昇させれば、並行するように順位も上がるはずだ。
文・写真 泉誠一