ピック&ロールを止めたかった信州のビッグラインナップ
今節がはじまる前、中地区2位の横浜ビー・コルセアーズを、同4位の信州ブレイブウォリアーズは6ゲーム差で追いかけていた。「チャンピオンシップに進出するためにも絶対に勝たなければいけない2試合であり、自分たちのベストを尽くして準備してきたつもりでした」と信州のジョシュ・ホーキンソンは話した後、悔しさが続く。「結果に結びつかず、とてもフラストレーションの溜まる週末になってしまいました」と肩を落とす。土曜は63-71、日曜は74-84で勝ち星を得られず、その差はさらに開いてしまった。
今月だけで3度目の対決となるこの両チーム。3戦目となった3月26日は、前半からボールと人が動いてオープンでシュートを打ち、48.6%の確率でシュートを沈め、そのうち3ポイントシュートは6本成功させた。45-35、信州が10点リードして後半へ向かう。しかし、勝久マイケルヘッドコーチは「前半の最後はエナジーレベルが下がってしまい、これはまずいと思った」と不安がよぎる。もう一度そのレベルを上げなければいかない後半は、「逆にどんどん落ちてしまい、悪い判断が増えたことで多くのターンオーバーをしてしまった」と劣勢を強いられる。
対する横浜BCは、後半勝負とチームの士気が高まっていた。「ピック&ロールの守り方を少し変え、相手の狙いをひとつ消しながら、強度を高く保ったままディフェンスを遂行してくれた。最後は足を使ったトランジョンでイニシアチブを取るもくろみがあった」と青木勇人ヘッドコーチは明かし、信州のエナジーレベルをさらに下げる戦術を取った。負けられない信州は終盤、アンソニー・マクヘンリーを横浜BCの起点となる河村勇輝のマークにつける。勝久ヘッドコーチも同様にピック&ロールのディフェンスでは「全部スイッチして、1on1で決められる分にはガマンしながら、最後に出したようなトラップも必要にはなってくる。スピードのミスマッチを突かれるよりも、ピック&ロールを止めたかった」と強調する。
帰化枠のホーキンソンがいることで、外国籍選手2人と同時起用できるラインナップを強みとし、思いきってマクヘンリーをガードにマッチアップさせるディフェンスは3回の横浜BC対策として準備してきた。しかし、3月8日はファウルトラブルになり、3月25日はウィリアム・モズリーが欠場、そして3回目となったこの試合もモズリーはプレータイム制限があったため、存分に披露する機会はなかった。
「1on1では自分の方が分はあると感じていました」河村勇輝
スイッチして守るホーキンソンは、「相手のガードに対してしっかりコンテインでき、自分たちのゲームプランを遂行できた部分もありました」という前半は信州がリズムを作れていた。しかし、後半に息を吹き返した横浜BCであり、その起点となった河村に翻弄されてしまう。
「本当にいろんなことができる選手です。ピック&ロールから味方にアシストでき、クリエイトすることもできるし、自らシュートを決めることもできます。一つ止めたらそれで終わりではないので、ディフェンスにとっては止めづらい。特に後半は疲労もあり、徹底し続けられなかったです。河村選手からボールを離させたかったがそれができず、良い判断をされ、そして最後はビッグショットを決められてしまいました」