「この地域にとって初めてのプロバスケットボールチームであり、思っていた以上に多くの方に来ていただきました。それを見たときに、このチームでがんばろうと思いました」
決意を新たに迎えた今シーズン、先発を任される日があれば、ほとんどプレータイムがない日もある。「自分の感覚としては、もう少しコンディションを上げていかなければいけないし、身体のキレも大学のときのような完璧な状態でもない。そこを今シーズンで、どこまで改善できるかを課題にしています」というのが現状であり、慌ててはいない。「十分なスタッツを残せていないし、チームもプレーオフに行けない状況の中で、まだ上に行けるに値するパフォーマンスや評価は自分も納得していないし、まわりにも評価されていないと思っています」と己と向き合いながら、今できることに全力を注いでいる。
大学で培ったキャプテンシーや戦術理解力を発揮し、「仲間を活かすようなプレーが増えています。ディフェンスは当たり前にできなければ上にもいけないので、それにプラスして得点能力でも評価されなければいけない」と課題を挙げたが、B3リーグで通用することも実感できた。「大学の同期はみんなB1にいるので、自分も上を目指していきたいです」と伊藤はもう一度、学生時代に掲げた目標に向かっている。
引退を撤回し、プロとなった今、「本当にただただバスケが楽しいと思う日々を過ごせています」。その姿を見るために会場へ駆けつけてくれるファンや、SNSの温かいコメントを励みにし、「本当に戻ってきて良かったなぁ、と今は思っています。ファンに恩返しするためにもこのチームを勝たせること、自分のプレーを見て勇気づけ、元気づけることが自分にできることだと思っています。それを精一杯コートで出していきます」という伊藤は、学生時代と変わらぬ姿を見せている。
「今は一番遠いところにいます」平良彰吾
市立船橋高校~拓殖大学を経た平良彰吾はライジングゼファー福岡からプロキャリアをはじめ、特別指定を含めて4年目を迎える。B2からB3リーグへ戦いの場を移し、昨シーズンはしながわシティバスケットボールクラブでプレー。平均11.4点は、チーム日本人トップの得点力で活躍した。新天地となる湘南ユナイテッドBCへ移籍した今シーズン、12月17日の岐阜スゥープス戦では28点を記録。得点に絡むプレーに自信を持つ平良だが、「もっと味方に良いプレーをさせるために考えたり、ゲームを作るのはまだうまく行ってないところです」と課題に取り組んでいる。3月12日、現在首位の岩手ビッグブルズを相手に10本のアシストを決め、その成果が見られた。しかし、スタッツに残る活躍もむなしく、いずれの試合も勝ててはいない。