「近い将来、日本代表が世界でも素晴らしい結果を残すと私は確信している」ファクンド・ミュラーヘッドコーチ
昨シーズン、B2に昇格した2チームはB1でも実績ある選手を集めて一気に勝ち抜けて行った。しかし、静岡の場合はそのようなタレントはおらず、昨シーズンにアイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城から移籍してきた岡田もB3リーグしか知らない。初年度こそ10位だった静岡だが、ミュラーヘッドコーチが指揮を執ってからは常にベスト4をキープし、今シーズンは首位に立っていた。天皇杯ではB2の西宮ストークスを69-65で破っている。ミュラーヘッドコーチとともに強化してきた静岡の強みについて、岡田が以下のように語る。
「オフェンスはどうしてもシュートが入るときもあれば、入らないときもあります。でも、ディフェンスは自分たちの意識次第で1シーズンキープし続けられるものです。そこからの速い展開が静岡の持ち味。今シーズンは、みんなが得点を獲れる強みがあり、誰かがシュートを決められなくても、ベンチメンバーも含めて次から次へと得点を決められる。特にそこが今シーズンの強みであり、勝率的にも悪くない。コーチが求めているプレーが静岡の強みであり、良いところです」
B3リーグで勝つためには充実した練習環境、そして戦力以上に指揮官の手腕が大きいと感じる。元日本代表を率いたフリオ・ラマス氏と同じアルゼンチンからやって来たミュラーヘッドコーチ。ラマス氏と同じくサンロレンソ・デ・アルマグロでヘッドコーチを務め、アルゼンチン代表アシスタントコーチという実績の持ち主。ラマス氏が来日する直前、スポットコーチとして日本代表を指導していた。ピラミッドの最下層にあるB3リーグで指揮しながら、日本バスケのポテンシャルを感じている。
「B1やB2の試合も見ているが、年を追うごとに日本バスケ界は着実に成長している。就任して3年目だが、B3も非常に成長を感じている。日本にとって素晴らしいことであり、時間をかけていくことで日本代表の結果にも反映されていくはずだ。国内リーグの競争力が高くなれば外国籍選手のレベルも高くなり、それに対して日本人選手も切磋琢磨できる。お互いに高め合うことで、全体としてレベルアップになる。近い将来、日本代表が世界でも素晴らしい結果を残すと私は確信している」
数年後、ミュラーヘッドコーチが手塩にかけた静岡の選手が日の丸を背負う日が来れば感慨深い。そのためにもまずはプレーオフを勝ち進み、ひとつずつカテゴリーを上げて行かねばならない。2連勝とはいかなかったが、連敗を抜けたことで「今日みたいなバスケットを少しずつ続けていけば、プレーオフまでの1ヶ月でしっかり修正できると思います。自分たちのバスケットを気づかせてくれた4連敗でもあったので、しっかりと切り替えて残る試合をチーム一丸となって戦い、プレーオフに臨んでいきたいです」と岡田は誓い、コーチと仲間を信じて邁進し続ける。
文・写真 泉誠一