「B1とB3では、スピードやフィジカルの部分は違いますし、外国籍選手でもB1の選手のほうが速いというのはあります。でもB3だからといって、決して簡単なリーグではない。自分はもっとアジャストしていかないといけないところがあると思います。正直、日本でプレーした最初のシーズンはB1でも荒いプレーが見られました。でも、B1も年々レベルが上がって、どんどん良いバスケットボールになっている。それは、B2もB3もレベルアップしているからなんです」
Bリーグ全体がレベルアップしている証拠を、ドブラスは2つ挙げてくれた。言われてみれば、それは実にわかりやすい例だ。B1からB3まで全てのカテゴリーでプレーした選手は日本人選手にも多数いるが、世界のレベルも熟知しているドブラスの意見はより説得力を増す。
「以前は、自分の国などでプレーしていた外国籍選手がリタイアする前に日本に来るケースが多かったと思います。でも最近は、20代前半の若い選手が日本を選んで来るようになった。もう一つは、僕自身が最初に日本でプレーしたシーズンに、23キロ減量したということ。それは、このリーグで戦っていくために必要なことでした」
現在41歳のドブラスがここまでプレーを続けられるのは、もちろんバスケットボールという競技そのものが好きだということが第一。そして、最初にプレーしたのが北海道だったことも、ドブラスにとっては大きな意味があったようだ。
「折茂(武彦、現北海道代表)さんが48歳でも毎日練習して、周りの人の良いお手本だったのを見ていたので、自分もそうなりたいというのがモチベーションの一つです。年齢に関係なく、エナジーを出してハングリーにプレーしていくところを見せたいです。B1でも、B2でも、B3でも、とにかく日本でバスケットボールをしたい。お手本になりたいんです」
ちょうど今シーズンが開幕する頃、ドブラスは自身のSNSで「今シーズンも日本でプレーしたい」とつぶやいていた。その理由を「リーグのレベルが上がっていることももちろんありますが、日本の人々の素晴らしさが大前提。みんなリスペクトを持って自分に接してくれる」と語るドブラスが日本語を流暢に話すことは、多くの人の知るところだろう。髙橋幸大とともにゲームMVPに選ばれ、ブースターの前でマイクを握ったドブラスは、いつものように日本語で挨拶の言葉を述べた。
クラブのフロントスタッフによると、ドブラスは “話す” と “聞く” だけにとどまらず、今後は “読み書き” も勉強したい意向を持っているという。努力を怠らない姿勢と献身性、明るくフレンドリーな性格に加え、日本という国をこれほどまでに愛してやまない “ドブちゃん” を、これからも長くBリーグで見続けたいものだ。
文 吉川哲彦
写真提供 東京八王子ビートレインズ