東京八王子ビートレインズがロバート・サンプソンとの契約解除を発表したのは2月16日。外国籍選手が1人欠けてしまったことはチームにとって大きな痛手であり、その翌日に行われた立川ダイス戦は敗れる結果となった。まだプレーオフ進出の可能性を残している中、サンプソンに代わる新外国籍選手の獲得は急務だった。
白羽の矢が立ったのは、短期契約で滋賀レイクスに加わっていたデイビッド・ドブラス。インジュアリーリストに入っていたイヴァン・ブバの復帰が近づき、中断期間に入っていたB1のリーグ戦再開を前に滋賀を退団することが予想されていた。2月20日、滋賀からの退団リリースと同時にドブラスとの契約を発表。ドブラスにとって、東京八王子は日本での7チーム目にして初のB3チームだ。
アウェーでの湘南ユナイテッドバスケットボールクラブ戦に出場し、2試合で計35得点16リバウンドと上々のB3デビューを飾ったドブラスは、3月3日の山口ペイトリオッツ戦がホームであるエスフォルタアリーナ八王子でのお披露目。立川や湘南と同様に山口も順位が近く、プレーオフに向けて両者ともに負けられない状況とあって、この第1戦も熱のこもった好試合となった。
その中でのドブラスの働きは、間違いなくチームを勢いづけた。ベンチスタートでありながら、第1クォーターに8得点4リバウンド。その後も着実に得点とリバウンドを重ねたドブラスは、第4クォーターは1分44秒しか休まず、9得点5リバウンド3アシスト。残り26秒には8点差をつけるダンクを叩き込み、勝利を決定づけた。重要な時間帯に存在感を示し、最終的に25得点11リバウンド4アシストをマークしたドブラスの活躍はこの日の勝利には欠かせなかったが、ドブラス自身は謙虚に振り返る。
「チームメートが勝利のためにいろんなことをやってくれたことがとても嬉しいです。試合の中でアップダウンもありましたが、みんながそれぞれの役割を果たして、こうして勝てたことは大きいです。自分の今日のパフォーマンスにはとても満足しています。でも、それはチームメートがパスをくれたり、いろいろと助けてくれた結果。そういった意味で、すごく良いパフォーマンスだったと思います」
常にチームプレーを念頭に置くドブラスは、味方が自分を生かしてくれることに感謝し、同時に自身も味方を生かすために献身的に動くことを意識する。それは、長年蓄積されてきた経験によってもたらされているもの。チーム内で自身が置かれている立場も、ドブラス自身が最も心得ている。
「インサイドで体を張ってディフェンスすることや、相手にファウルさせることももちろん自分の仕事なんですが、ベテランとして、経験がたくさんある選手としてチームメートを生かすところが自分の一番の仕事だと思っています」
日本でのキャリアのスタートはレバンガ北海道。その後はB2を主戦場としていたが、前述の通り今回の移籍直前までは滋賀でプレーしていた。チームとしての結果はいずれも芳しいものではなかったが、B1の舞台を知っていることには変わりなく、そんな選手がB3で活躍するのは当たり前のことかもしれない。
しかし、来日5シーズン目になるドブラスは、Bリーグのレベルが確実に向上しているのを肌で感じてきた。これは、B1からB3までの全てのカテゴリーを経験しているからこそわかる感覚だ。