ロスコ・アレンが復帰、新戦力パク ジェヒョンを迎え、良い練習をしてきたつもりだったが…
新アリーナ発表やチャンピオンシップ進出までのカウントダウンなど、明るい話題は自然と口角が上がる。早くもカニやエビなど甲殻類を用意し、宴の準備をしたい気分だ。川崎ブレイブサンダースが、バイウィーク明けのホームゲームを83-65で快勝した。中地区首位に立つ川崎の光に対し、暗い影を落とすのが8連敗中の新潟アルビレックスBBである。明るい話題でかき消されがちだが、今シーズンは降格制度が復活。下位2チームは入替戦のチャンスを与えられないまま、B2へ蹴落とされる。まだ5勝しか挙げていない新潟が、その最前線にいる。
「細かいことを言えばキリがないが、本当に難しい試合になった。エナジーであったり、チーム全員で自分たちのバスケを遂行するところであったり、良い練習をしてきたつもりだったがうまくできなかった」
コナー・ヘンリーヘッドコーチは、準備してきたこととは違うプレーに声を上げて修正を促し、大きな身振りで選手たちを鼓舞する。しかし、後半途中からはベンチに座ったまま、静かに戦況を見つめていた。昨年12月16日から新たに指揮を執るヘンリーヘッドコーチにとって、日本代表戦による中断期間は立て直すためにも絶好のチャンスだった。1週目はオフにして心身ともにリセットし、2週目にコンディショニングを上げて身体を目覚めさせる。3週目にはロスコ・アレンがケガから復帰し、韓国のベテランポイントガードであるパク ジェヒョンを新たに加え、自分たちのスタイルを構築するために時間を割いた。「良いチームになるためには、ディフェンスの細かい連携やオフェンスではパスを回してボールをシェアすることなど、選手それぞれが自分の役割をこなすことが必要である」とヘンリーヘッドコーチは準備してきたが、川崎戦ではその成果が見られなかった。
「スカウティングをして対戦相手に対抗するゲームプランを用意し、試合の中でどれだけ遂行できるかが一番大事になる。映像を見返せば分かってしまうことだが、全員で最後までプレーし続けられなかったところがあった。チームのために一人ひとりがプレーを遂行できておらず、もう一度チームがひとつになって戦っていくところから改善していかなければならない」
経験豊富な盛岡南高校の大先輩の大きな支え
平均年齢26歳、主力は24歳以下の若い選手多い新潟だが、球際の競り合いや勝利への執念はベテラン揃いの川崎が大きく上回っていた。勝てない現状に対し、「何かを変えなきゃいけないと一人ひとりが思っていることは多分あるとは思うんですけど、それが一つの方向に向かっていない。それが、ずっと感じていることです」という澁田怜音も24歳。キャプテンとして、ポイントガードとしてチームをまとめる難しさを痛感するとともに、「コーチが求めていることと選手が体現する、表現するところにちょっとズレができています」という違和感もある。