良いディフェンスの定義とは?「試合によって異なるものである」フィッシャーHC
前節のサンロッカーズ渋谷の初戦で38点、翌日も29点の活躍で、チームを3連勝に導いた大阪エヴェッサのキャプテン、ディージェイ・ニュービル。その爆発力ある得点源を止めるべく、アルバルク東京は1月18日の群馬クレインサンダーズ戦以来となる吉井裕鷹を先発で起用する。小酒部泰暉とタイムシェアしながら、大阪の原動力を徹底マークしていく。平均18.7点と同じ数字に乗せられはしたが、勝負どころはしっかりと守り、攻撃に参加させない時間帯も多かった。開始5分間で16-4と圧倒し、集中力を切らすことなくディフェンスし続けたA東京が74-66で初戦を制した。
吉井と小酒部のディフェンスに対し、A東京のデイニアス・アドマイティスヘッドコーチは「素晴らしい仕事をしてくれた。途中で、藤永(佳昭)選手がマッチアップしたときは、バスケットカウントで3ポイントを決められるケースもあった。やはりディフェンス面で相手のモーターとなるニュービル選手を、いかに乗せずに抑えるかがキーである」
翌日の第2戦も接戦となったが、ニュービルを10点に抑えたA東京が68-61で勝利し、連勝を10に伸ばした。
ユニフォームの色が違えば、試合の見え方も変わってくる。大阪エヴェッサのマティアス・フィッシャーヘッドコーチは、「ディージェイを守っていたA東京の選手たちは良いディフェンスをしていたとは思う」と認める。「でも」と続けた指揮官は、「良いディフェンスの定義とは何か? それは試合によって異なるものである」と持論を展開する。
「この試合では相手をつかんだり、押したりすることが許されていたのも事実だ。レフェリーがどのような行為をファウルとみなすかによって、良いディフェンスの定義も変わってくる。1試合を通してディージェイはつかまれたり、押されたりしていたが、今日の試合でそれはファウルとみなされなかった」
フィッシャーヘッドコーチは、フリースロー試投数の違いを証拠として突きつけた。A東京の27本に対して、大阪はたったの8本しかその機会がなかった。記者会見では開口一番、「両チームともディフェンスに焦点をあてた魅力的な試合だった」と言うように、どちらもゴール下ではハードに戦っていた。
「同じ試合の中で、これほど強度が変わるのはあまりないことである。ディージェイに対するファウルコールが少なかったのが現実だ。フリースローをもらえるシチュエーションというのは、今日の試合でもたくさんあったと思う。だが、そのコールがなかったということは、彼らのディフェンスはこの試合では良いディフェンスの定義内に入っていたのだろう」
ジャッジに納得がいかず、その矛先がレフェリーに向いてしまえば相手が見えなくなり、あっという間にワンサイドゲームになってしまうものだ。しかし、大阪が最後までもつれた試合を見せられたのも、「どれだけつかまれたりしてもクールに、常にオープンショットを打ち続け、ペネトレーションし続けて、相手の選手を引き寄せてチームメイトを活かして行こう」と努めて冷静にプレーするようにフィッシャーヘッドコーチは声をかけていた。タフな状況ではあったが、序盤に背負った大きなビハインドからカムバックし、最終的には8点差で終われたところに大阪の強さが感じられた。