初戦を落とした後、「本当に悔しくて、なんとか京都に勝ちたいという気持ちがすごく強かった」という河村は、2戦目の序盤は空回りしていたことを認める。そこで青木ヘッドコーチは、「一人でがんばりすぎていたので、冷静に戦況を見させるためにベンチへ下げた」という第2クォーターの英断が功を奏す。河村も「信頼できるチームメイトもいるし、自分だけではない。そして本当に大事なのは、やはりディフェンスなんだ」と本来の戦い方を取り戻し、後半だけで18点を決めて逆転勝利に導いた。
河村の負担を減らすべく、青木ヘッドコーチは森井健太とツーガードに変更。「まずは自分からスコアを狙ってアタックし、そこでヘルプが来れば、もう1回プレーメイクする。前半で試合を俯瞰して見せたことが、後半の活躍につながった」と述べた青木ヘッドコーチにとっても、49歳のバースデーゲームを勝利で飾ることができた。
「どの選手にも自信を持ってプレーしてもらいたい」ロイ・ラナヘッドコーチによる京都改革
初戦で15点を決めた久保田義章は、5試合連続二桁得点をマーク。九州共立大学出身の久保田は、九州大学リーグ得点王(平均20.6点)&3ポイントシュート王(平均3本)。4年次のインカレでは、敗れはしたが東海大学を相手に29点を叩き出した得点力は折り紙つき。特別指定から数え、京都で4シーズン目。現在平均11.1点、本来の力を発揮しはじめている。
「どの選手にも自信を持ってプレーしてもらいたい。ガード陣には常にアタックするマインドセットを持ってプレーするように伝えている」というラナヘッドコーチは積極性を求めている。1点差で敗れた2戦目だったが、残り23.7秒には満田が逆転の3ポイントシュートを決めた。「それまで7本のシュートを放って1本も入っていなかった満田だが、最後にビッグショットを決めてくれた」とラナヘッドコーチは評価し、打たなければ入らない。河村のように、シュートを打つメンタリティーが不可欠だ。
男子日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチも、「全員がファーストオプション」と誰もがゴールへ向かうように意識づけしている。京都のラナヘッドコーチも、同じような考えで選手たちを伸ばしていた。「良いチームは良い判断をし、チーム全員でボールをシェアしていく」スタイルをラナヘッドコーチは目指す。改革しはじめた京都は現在13勝。早くも昨シーズンの勝ち星まで、あと1勝に迫っていた。
その京都は、次戦もアウェーで東地区7位の茨城ロボッツと対戦。現在中地区首位の横浜は、東地区1位の千葉をホームに迎える。エースの河村と富樫勇樹による『No.1ガード』争いは見逃せない。直近の試合で12分出場した千葉の小川麻斗との、福岡第一対決の実現を楽しみにしているファンも多いことだろう。
文・写真 泉誠一