エース河村勇輝 vs 水野幹太&満田丈太郎
西地区5位の京都ハンナリーズに対し、「この勝率のチームではないと思って準備し、危機感を持って挑んでいた」とは、横浜ビー・コルセアーズの青木勇人ヘッドコーチである。レギュラーシーズンにおいて、他地区チームとの交流戦は各2試合しかない。30勝を挙げた東地区1位の千葉ジェッツが、現在88.2%の勝率でリーグトップに立つ。東と中地区で20勝を超えているのは上位2チームまでだが、西地区は上位4チームまでを占め、いずれも勝率は7割を超えている。西地区vs他地区対戦の勝率は6割と勝ち越してもおり、リーグ最下位の滋賀レイクスが挙げた4つの勝利はいずれも他地区からだった。12勝20敗の京都が中地区首位の横浜BCを80-76で下し、初戦を勝利したのも実力どおりである。
平均18.5点(リーグ10位)、8.8アシスト(同1位)の河村勇輝が横浜BCの起点となり、自身もエースとしての自覚を持つ。「河村選手は非常に才能があり、リーグの中でもベストなガードの1人」と京都のロイ・ラナヘッドコーチは称えるとともに、抑えなければならないキープレーヤーである。先発の水野幹太、途中交代で188cmの満田丈太郎がハードにマークしていく。1戦目は勝利したが、河村には19点を決められた。続く第2戦、京都は最大12点をリードしていたが、第3クォーター終盤に同点の3ポイントシュートを決められる。続く第4クォーターのファーストシュートでさらに3点を加えたのはいずれも河村であり、62-63と逆転される。その時間帯のマークマンは、いずれも水野だった。
川崎ブレイブサンダース(特別指定選手)と新潟アルビレックスBBでB1を経験した水野だが、昨シーズンはB2福島ファイヤーボンズでプレーしてきた24歳。「まだまだ若い選手であり、こういう経験を経てどんどん成長していって欲しい思いがある」とラナヘッドコーチはプレータイムを与えた。しかし、勢いに乗りはじめた河村を止めるべく、終盤は満田に託す。「2人とも練習してきたディフェンスを見せてくれた。満田はこちらが要求していたプレーをしっかり遂行してくれていたし、控えの小西(聖也)もがんばってくれた。しかし、河村選手は本当に才能があり、彼を止めるのは容易ではない」とラナヘッドコーチは、この日のディフェンスを評価する。最後まで京都にも勝つチャンスはあったが78-79で惜しくも敗れ、このカードは1勝1敗に終わった。
試合後、河村は京都のゾーンディフェンスにうまく対応できなかった課題を挙げる。シュートの感触は良く、「いつかは入るだろう」というメンタリティーで打った試投数24本は過去最多を記録。26点と活躍したが、「ゾーンを攻略する上で3ポイントシュートだけに頼らず、他の展開を作っていかなければいけないと感じました」と河村は言い、自身のシュート率(41.7%/3ポイントシュート31.3%)向上を強調する。
京都の水野と満田のディフェンスに対しては、「本当にタフだったと思います。背丈もあって足も動く、そして1人だけではなく、2人で交互に出てくるので相手はフレッシュな状態でディフェンスができ、それぞれの動き方も変わってきます」と苦戦を強いられる。しかし、その時間帯は前半だけであり、「そんなに焦りもなかったし、ある程度は崩せるな」という打開策を見つけていた。