モズリーをケガで欠くタフな状況に見せた「素晴らしいスピリット」
多くのチームにケガ人が目立つ中、信州ブレイブウォリアーズは11月に右膝外側半月板を断裂し、インジュリーリスト入りしたウェイン・マーシャルに代わって入ったウィリアム・モズリーが全く同じ箇所を損傷。6〜8週間の長期離脱となった。
勝久マイケルヘッドコーチは「どんどん調子を上げて、チームを助けていたグレートガイがケガをして本当に悲しい」と心境を吐露する。しかし、試合は待ってくれない。8人で挑んだサンロッカーズ渋谷との中地区同士の対戦。前半こそ拮抗した試合だったが、第3クォーターにディフェンスから走って流れをつかんだ信州が91-71と20点差をつけて勝利。16勝目(14敗)を挙げた。
岡田侑大(平均14.1点)や熊谷航(平均10.2点)も信州の得点源である。この試合では岡田とともに、前田怜緒が3ポイントシュートを5本沈め、20点を挙げた。日本人選手の得点力が信州の強みだが、モズリーを欠く現状について、岡田はこのように語る。
「今日の1試合だけならば、こういう形で勝利できたかもしれないですけど、ウィル(モズリー)の離脱は長期的に考えると本当にタフになっていきます。個人としても相性が良いというか本当にやりやすく、デュオと言える選手だったので、ケガの知らせを聞いたときは残念でした」
勝久ヘッドコーチは、「今シーズンは何度も同じようなことが起き、その度にチームは本当に素晴らしいスピリットを見せてくれている」と言うように誰ひとり下を向いていない。岡田も「タフな状況だからといってあきらめたくはない。ウィルの分も、ウェインさんの分も戦っていかなければいけない」と力を込め、チームを引っ張る。
週末には東地区1位の千葉ジェッツを迎えるホームゲームが待っている。西地区4位だが勝率73.3%(22勝8敗)で上を行く名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦、そして2月最初は中地区1位の川崎ブレイブサンダースとの負けられない上位対決が続く。岡田は、「1勝でも多く勝たなければならない。危機感を持ってがんばっていきます」と力強いコメントを残した。タフな状況を乗り越えていかなければ、チャンピオンシップにも届かない。
「僕がディフェンスをしないイメージがまだあると思います」岡田侑大
今シーズン7試合目の20点越え、前節のシーホース三河戦でも21点を挙げた岡田。12試合連続二桁得点をマークし、勝久ヘッドコーチも「ピュアなスコアラーであり、オフェンスマシーンなので、もうオフェンスの天才」と賛辞を並べる。
学生時代からそのオフェンス力は折り紙つきであり、この活躍に驚きはない。モズリーとのデュオに自信を持っていたように、ジョシュ・ホーキンソンともピック&ロールから打開し、ガードとして引き出しが増えた。前半は3点だったが、その分アシストは4本を挙げており、トータル7本はゲームハイ。後半に17点を許したSR渋谷の浜中謙ヘッドコーチは、「サンロッカーズの中で自信を持ってディフェンダーと言える選手をつけたが、彼の1on1はチームで守らなければいけなかった」と言うほどである。
信州はディフェンスのチームであり、平均失点71.5点はアルバルク東京に次ぐリーグ2番目の少なさを誇る。
「大学から知っている人たちは、僕がディフェンスをしないイメージがまだあると思います」
その言葉どおり、筆者にとっても、岡田に対するディフェンスへの信頼度はゼロに等しかった。オフェンスでは神と崇める勝久ヘッドコーチに、今の岡田のディフェンス評を伺った。