「相手によってフレキシブルに戦術を変えることを重視」するアドマイティスヘッドコーチ。「それはすごく難しいことだが、次の試合に向けて時間がない中でも戦術やディフェンスも大きく変えている」という新たなスタイルに挑戦している。悩むこともあった安藤だが、密にコミュニケーションを取り合ったことでディフェンスが上向いてきた。「ごちゃごちゃ考えちゃいけない性格」という自己診断の下、開き直ったことで31点越えの得点を量産し、オフェンスでも目覚ましい活躍をみせている。安藤も、アドマイティスヘッドコーチが目指すスタイルに手応えを感じていた。
「昨シーズンまでの5年間、アルバルクが築いてきたディフェンスが、相手チームにはまだ染みついているのではないかと思います。でも、僕たちが新しいことをやっていることで、今は相手が対応できてないという部分もあるはずです。これからシーズン後半戦に向け、相手が対応してきたときに自分たちがどういうディフェンスをすべきなのかが今後の課題になってきます。今、うまくいっているから良いわけではなく、もっともっとコミュニケーションを取って、さらに良いディフェンスをできるようにしていきたいです」
これまでのA東京のスタイルから脱却し、進化した姿が結果に現れている。アドマイティスヘッドコーチは、「どのシステムが良いとか悪いという話では全くない。バスケにおいて良いシステムもなければ、悪いシステムもない。ただ、どのシステムを選んだとしても、それを遂行できなければうまくいかないだけ」という点を強調する。ルカコーチが細部まで徹底してきたベースが染みついているからこそ、「ディフェンスに対するマインドを持った選手たちが集まっている」とアドマイティスヘッドコーチも感じていた。タフなスケジュールの中で選手たちは挑戦し続け、バージョンアップしたA東京の戦いが見られはじめている。
文・写真 泉誠一