「チームとして遂行すべきことを全員が意識し、自分がコートに出たときは積極的にアタックしていき、その中でまわりの良いところを見つけることを意識してプレーしました。得点は取っていないですけど、空いている選手を見つけてクリエイトすることはできたと思っていますし、しっかり決めてくれて良かったです」
結果は、97-86で中地区1位の川崎が勝利した。敗れた宇都宮は10勝10敗と貯金がなくなり、東地区4位。その一方で宇都宮に新加入したグラント・ジェレットはゲームハイの28点、11リバウンドと活躍。球離れもよくチームハイ・タイの4アシストを決め、高い能力を披露した。敗れた宇都宮だったが、ジェレットの活躍により今後の巻き返しに期待が高まる試合でもあった。
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ルーキーとは違い、すでにプロの舞台で実力を披露し、それが評価されて迎えられるのが移籍選手だ。GMやヘッドコーチは起用方法を理解した上で、パズルのピースとしてはめていく。これまでの経験を還元し、チームに新たな風を吹かせ、活性化させるのも移籍選手の役割であり、即戦力でなければならない。
川崎戦では3ガードの1角として先発を任された笠井だが、宇都宮には鵤誠司&遠藤祐亮の2ガードが君臨する。同じく川崎の顔となる篠山竜青&藤井祐眞もまた、不動のガードコンビだ。長く在籍する選手が多いチームに、移籍選手が溶け込む難しさもある。宇都宮の笠井は、「ディフェンスの理解度が高く、みんなのベースも高く、何も言わなくても自然とできる共通理解があります」というスタンダードに追いつくことに最初は苦労した。納見の場合は、青山学院大学や世代別日本代表でチームメイトだった前田悟がつなぎ役となり、「チームになじみやすかったです」と利点を活かす。チーム戦術などの理解度は深まってきたが、「信頼に関してはまだまだ勝ち獲らなければいけないところがあります」という現在地だ。
「もちろん、篠山&藤井のガード陣に割って入ってくることを期待しており、もうすでにそれができている部分もある」という川崎の佐藤ヘッドコーチは、納見のシュート力とコートビジョンの広さを評価。一方で「ディフェンスでもっとタフさを出してほしい」と注文をつけ、変わらぬ戦力を刺激する活躍に期待する。宇都宮の佐々ヘッドコーチは、「彼が体現する最後まで戦う姿を若いヤン(ジェミン)やヒデ(荒谷裕秀)にはもっともっと吸収してもらいたい。それがブレックス・ネーションを継承していくことになる」と笠井の姿勢に感謝する。