初先発を任された笠井康平「集中を切らさずにプレーし続けることはできた」
離職率ならぬ離チーム率の低さを誇る川崎ブレイブサンダースと宇都宮ブレックス。新シーズン開幕に向けて移籍してきた選手は川崎が2人、宇都宮は3人。他のチームを知らないフランチャイズプレーヤーが川崎には7人もいる。宇都宮は4人だが、比江島慎をはじめとした5年以上在籍する選手を含めるとさらに5人増え、川崎を上回る。選手にとっては居心地が良く、阿吽の呼吸で目指すスタイルが確立できている。自ずと勝利する可能性が高まり、その結果として昨シーズンの宇都宮は2度目のリーグ制覇を成し遂げた。川崎もコロナ禍で中止となったシーズン以外、40勝以上の高勝率でBリーグを牽引する強豪だ。
完成されたチームでも少なからず風を入れ替え、毎年のようにチームを向上させ続けなければならない。新たなポイントガードを迎えた両チームによるライバル対決となった20試合目。群馬クレインサンダーズから移籍してきた笠井康平は、宇都宮ではじめて先発を任された。
「いつもと変わらずにディフェンスからしっかり入り、オフェンスではコントロールを意識していました。相手がゾーンディフェンスだったこともあり、なかなか思いどおりの入りにはならなかったですが、それでも集中を切らさずにプレーし続けることはできたので、次につながる部分もいろいろあったと思っています」
比江島慎のケガもあり、先発に抜擢した佐々宜央ヘッドコーチは、「彼のファイトは今のチームにとって非常に大事。もっとオフェンスで貢献したい思いもあるかもしれないけど、笠井のような戦う選手がコート上には必要だった」と述べ、アグレッシブなディフェンスと諦めずに追い続けたルーズボールを評価する。
新潟アルビレックスBBから移籍してきた川崎の納見悠仁は、3番手のガードとして第2クォーター途中から登場。5つのアシストを決めたが、ターンオーバーも4本と多かった。第4クォーター残り4分、納見のミスが失点につながってしまう。84-71と13点リードしていたがすぐさまタイムアウトを取り、藤井祐眞と交代させられた。しかし、佐藤賢次ヘッドコーチはそのプレーを咎めることはせず、「あのターンオーバーは納見だけが悪いわけではない。良い位置まで侵入していたけどまわりの合わせがちょっと足りなくて、パスコースがなくなっただけだからあまり気にするな」と声をかけた。リーグ戦も1/3を終え、納見も居場所を見つけはじめている。