「誰かが欠けたからといってチームの力がダウンするのではなくて、違うところからチームを盛り上げていかないといけないというのはありましたし、Jを休ませるという意味でも、マイクやニックと一緒に出るラインアップはありだと思います。それが自分の武器になって、チームとしてもそういうオプションが加わることで、より一層チームが強くなるという実感もあります。ラインアップによって役割は変わってくるので、そこで何ができるか。チームメートも自分に対して求めているものがありますし、そこでしっかりと仕事をした上でいろいろ挑戦していくことが重要かなと思います」
前述の通り、シーズン序盤は得点に絡む機会が少なかった。その中でも、鎌田はチームの歯車がかみ合うことを第一に考え、自分にできる仕事を遂行してきた。それが今、自身のシュートチャンスにつながっているという実感を持つ。
「チームとしてまだ成長途中というか試行錯誤しながらやっている中で、どうしてもうまくいかない部分はある。そこは我慢して、別に自分が得点できなくても周りを生かす動きは常にやってますし、その積み重ねで今少しチームが流れに乗れているときにボールムーブで自分にパスが回ってきてシュートが打てています。チームとして良い流れだからこそ、自分も得点できているのかなと思います。チームに生かしてもらっているというよりは、チームがうまく回るように動きつつ、そこで最後に自分が空いてシュートチャンスがあるというイメージですね。スクリーナーとしての動きが自分の一番の強みで、そこで自分がフリーになったときにシュートを決めきることが相手の脅威になるということは常に意識してます」
Bリーグになって3シーズン目以降のオンザコートルールは、日本人インサイドプレーヤーにとっては厳しい面もあり、ファジーカスという大黒柱が帰化し、外国籍選手も強力な川崎で生き残ることは容易ではない。1シーズンだけ仙台で過ごしたとはいえ、呼び戻される形で再び川崎の一員となった鎌田は、何故このチームに必要とされているのか。その答えを、鎌田自身は明確に持っている。
「インサイドで外国籍選手とマッチアップしてディフェンスできないと、おそらく試合にも出られない。押し負けず、イージーにやられないことがベースで、あとはどれだけ相手の脅威になれるか。自分の場合、スクリーンをかけにいったり邪魔しにいったり、いやらしい動きをいっぱいするので(笑)、それがチームのためにプラスになっているのが、自分の生きる道というかベースになってますね」
そう口で言うのは簡単なことだが、それを実践するには日頃の努力が不可欠。体力を削られるフィジカルコンタクトは苦になることもありそうなものだが、鎌田は「当たって、ぶつかってぶつかって、それで相手を止めたときはやっぱりモチベーションが上がります。しんどいというよりは、体が当たってたほうがしっくりきます(笑)」とむしろフィジカルコンタクトを歓迎する。川崎の反転攻勢には、鎌田の力も少なからず必要だ。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE