「多分、レベルは上がっていると思います。ただチーム数が多くなっているから、選手が分散している。昔は8チームしかなくて、トップの日本人選手はほとんどそのチームに行っていたけど、今は(B1は)24チームあるので、タレントを持っているチームと持っていないチームの差が激しい。
それと日本代表の試合も楽しみです。ユウキ(富樫勇樹)が出ますので。夏にも見ていたし、オリンピックも見ていました。(代表では)やっぱり渡邊。渡邊雄太は私の『ヨーロッパの見方』としても本当にハイレベルな選手。ディフェンスでもオフェンスでも、休まない。ハッスルプレーもするし、あのサイズであのスキルがあるのはヨーロッパでもアメリカでも、日本、アジアでもほとんどいない。本当に独特なタレントがある選手。
ただ、アジアのバスケットはペースが遅い。それは残念なことですが、ホーバス(トム・ホーバス、日本代表HC)がコーチになって、ちょっと速くさせていると思います。ディフェンスも強調していると思う。新しいコーチになると、どこでもちょっと時間はかかると思いますけど、その中でも面白い試合をやっています。」
ヨーロッパの見方。
その視点を持ちながら日本人プレーヤーの性質にも明るいコーチは、彼をおいて他にはいないだろう。
パトリックHCから見て、ヨーロッパでも通用する可能性のある日本人選手はBリーグに存在するのだろうか。
「ぜひチャレンジしてほしいよね。日本のレベルを上げるためには外国でやる経験が必要だと思います。選手にとっても、コーチにとっても。千葉Jでは、ユウキは以前に少し行っていたけれど、それ以外だとハラ(原修太)とか。多分彼のスキルセットとパワーはヨーロッパでも機能する。ヨーロッパではどんなチームもディフェンスのエースが欲しいと思っているから、彼のようなタイプはぜひトライしてほしい。
リーグの中でも、何人かは多分通用する可能性があるけど、行ったら大変だとは思う。向こうはスタイルが違って、速いしフィジカルだけど、プレースタイルに慣れたら活躍できると思います。だから、Bリーグのトップ選手、大学のトップ選手はチャレンジしていってほしいよね。それに今の高校生も前と比べてタレントがある。スキルと身体能力がある選手がいますので、そういう選手も行ったほうがいいですね、本当は。」
日本に比べてヨーロッパのバスケットはレベルが高い。
漠然とそう認識していても、では具体的になにが違うのかを明確に語れる人物がどれほどいるだろうか。
「うまい」だとか「強い」だとかの抽象的ではない違いについても、はっきりとした見解を彼は持ち合わせている。