「ヨーロッパと日本のバスケットボールは似てるようで全然違う」
Bリーグ開幕直前の9月中旬まで、アウダはチェコ代表としてユーロ・バスケットに出場。ギリシャ代表のヤニス・アデトクンボをはじめとしたNBAやヨーロッパのトップ選手たちとマッチアップしていた。A東京のセバスチャン・サイズは優勝したスペイン代表であり、この2人が同じコートに立っていることが、近年のBリーグのレベルを引き上げているひとつの要因と言える。
「ヨーロッパと日本のバスケットボールは似てるようで全然違う」とアウダは言う。その違いとは「アグレッシブさや体の強さ、プレースピードも全然違う」と続け、当然ヨーロッパの方が断然高いレベルを誇る。2014年からキャリアを積むチェコ代表には、「家族のようにお互いを助け合い、常に勝つために貪欲な姿勢で取り組むメンタリティがある。そこが日本人やこのリーグとの大きな違いだ」と核心に迫る。
「異なるチームから選手が集まり、チェコ代表として戦っているが、試合では勝利に向かって本当の家族のような団結力がある。そのメンタリティーや雰囲気の作り方などのチーム力がビーコルや日本にはまだ足りておらず、その部分こそ唯一還元できると思っている。チェコ代表として得た経験値や価値観など、チームがプラスになるためのすべてを与えたい」
チェコ代表のアウダ、そして日本代表に定着しつつある河村には、勝利のメンタリティーが備わっている。昨シーズンはB2だったが、仙台89ERSでB1昇格の立役者となったオリバー。ジャクソンはサンロッカーズ渋谷時代にチャンピオンシップを経験している。千葉ジェッツから移籍してきた赤穂雷太は、Bリーグの最高峰をしっかりと見て横浜に戻って来た。A東京との2戦目に初先発を任されたキング開も、専修大学2年次には日本一を争う舞台に立ち、昨年もベスト4の好成績を収めている。勝つことが当たり前であり、勝利に貪欲な選手が増えたことでチームカルチャーにも変化が現れている。ここから一足飛びに上位へ浮上するのか、まだまだ一喜一憂させられる日々が続くのかは分からない。だが、間違いなく目指すべき方向へ進んでいるからこそ、負けた試合でもしっかりと収穫を得られている。最年少の河村の言葉がそれを物語っていた。
「昨シーズンの悔しい敗戦や、負けた試合から僕たちは学び、今シーズンはチャンピオンシップ出場を目標に掲げて戦っています。これまでも悔しい経験をしている選手が多いので、1試合1試合に懸ける思いは全選手が大きいですし、僕たちは負けたゲームから学び、チャレンジしていくことが、今僕たちがやるべきことだと思います。現状で言えば負けが多い中で、そこから何を学んで次に生かしていくかというのが大事になります。負けることもそうない経験だと思って、今ある状況の中で僕たちは打開していくことを考えながら戦っていきます」
文・写真 泉誠一