「見応えのあるクロスゲームに勝てて良かった」
サンロッカーズ渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが、胸をなで下ろすような展開が続いた11月20日の茨城ロボッツ戦。結果は、石井講祐のクラッチタイムで、97-95と劇的な勝利をつかんだ。
ジェームズ・マイケル・マカドゥからコンディション不良の一報が入ったのは、試合当日の朝。外国籍選手がライアン・ケリーとケビン・ジョーンズの2人となったSR渋谷に対し、茨城は帰化枠のトーマス・ケネディを擁する。伊佐ヘッドコーチは、「ケネディ選手の3ポイントシュートを警戒していたが、クイックリリースから打たれ、そして決められてしまった。Bリーグの中でも体の強い(エリック)ジェイコブセン選手もいる。(チェハーレス)タプスコット選手のスコアリング能力はちょっと抜けていた。イライラさせながらも楽しかったし、素晴らしかった」という彼らに二桁得点を許す。タプスコットは30点、ケネディも20点を挙げてハイスコアのクロスゲームを牽引する。少しウエイトがオーバーしているように見えるが、LJ・ピークも恐い存在だ。
対するSR渋谷は、ジョーンズが第2クォーター早々に2つ目のファウルを取られ、ベンチに下げざるを得ない事態となる。必然的にケリーのプレータイムが長くなり、体力が削られていく。ジョーンズに代わって西野曜を投入した伊佐ヘッドコーチは、井上宗一郎とともにインサイドを任せる。その直後、26-27と茨城に逆転を許したが、外国籍選手が不在だった2分弱の時間帯を1点ビハインドで凌ぐ。試合の約半分は、SR渋谷の方が外国籍選手の数が少ない状況だったが、その時間帯でビハインドを背負ったのは先に挙げた2分間だけ。伊佐ヘッドコーチは以下のように評価する。
「井上と西野を使った時間帯は、1分ぐらいでも良いからつなぐように指示をした。井上が3ポイントも決めてくれたし、一番は選手たちが慌てることなくやるべきことをしっかり遂行してくれた。(外国籍選手が少ない)時間帯は、もしかしたら3点ビハインドぐらいになっていたかもしれない。でも、そこを凌げたことで結果的に最後はライアンもケビンもコートに立てた。あの数分間は、井上も西野もとても大きな仕事をしてくれた」
石井講祐は9アシストでキャリアハイ達成
前日の試合で4本の3ポイントシュートを決め、21点と活躍した石井講祐を警戒するように、茨城は鶴巻啓太にマッチアップを変えて来た。「そこを利用しながら、誰かがどこかで良いシュートを打てるようにしよう」と伊佐ヘッドコーチは指示を出し、その言葉どおりに石井がアシストを決めていく。「ライアンもピック&ポップの3ポイントシュートが当たっていましたし、西野もいいタイミングでカットしてきてくれました」という石井がパスを供給し、ケリーは31点、西野も14点を記録。石井自身は9本のアシストを決め、キャリアハイを更新した。
「狙っていたというよりは、うまく味方の空いている位置を見つけてパスすることができたのかなと思います。木下(博之)コーチとピックの後に見る場所だったり、パスの狙いどころだったりを日々練習しています。それが試合に活かせてきているのかなと思います」
94-93、1点を追う茨城はタプスコットがケリーのシュートをブロックで阻止。慌てて戻るケリーだが、タプスコットにファウルをしてしまいフリースローを与えてしまう。2本とも決めた茨城が94-95と逆転に成功。残り時間は2.5秒しかない。SR渋谷はタイムアウトを取った。