第6節までの11試合を終えた時点で9勝2敗、B2東地区で堂々の首位と、越谷アルファーズが好調だ。昨シーズンは新しい応援グッズ「ネギばんばん」がメディアにも取り上げられ、オフにはアルファヴィーナス・Hazukiとの専属プロ契約が話題を呼んだが、ここまではチームの結果も伴い、話題先行となっていない点は立派だ。
第6節の福島ファイヤーボンズ戦も連勝。第2戦は立ち上がりで10-0のランを見せながらも接戦の展開となったが、第3クォーターにリズムをつかんでからは優位に試合を進め、最後は82-76で逃げきった。その第3クォーターにチームを勢いづけたのは、残り2分42秒の長谷川智也の3ポイント。長谷川は残り1分6秒と同35秒にも3ポイントを決め、どちらに転んでもおかしくなかった試合の流れを越谷に大きく引き寄せた。この試合の長谷川は9分28秒の出場時間で9得点と、非常に効率の良い仕事をやってのけた。
実は前節の試合で軽傷ながらケガを負い、この第6節は出場時間が制限されていた。しかし、第3節の佐賀バルーナーズ戦でも第2戦でオーバータイムに持ち込む同点3ポイントを決めてみせた長谷川に対し、シーホース三河時代の盟友でもある桜木ジェイアールスーパーバイジングコーチ(SVC)の信頼は絶大。「特に今日の試合はベンチポイントが必要だった。彼の3ポイントはチームをリフトアップしてくれた」と称賛している。
大塚商会アルファーズでキャリアをスタートさせた長谷川は、その後3クラブを経て2020-21シーズンに越谷に “復帰” した。そのシーズンは単なるシューターにとどまらず、アイザック・バッツら外国籍選手とのピック&ロールからオフェンスをクリエイトする役割も担ったが、その後越谷には松山駿や鎌田真、駒沢颯といった成長株が加わり、長谷川の役割も変わりつつある。今の主な役割はコーナーからの3ポイント。「コーナーからちょっと上がったら怒られる(笑)」というほどそれは徹底されており、その分役割は明確だ。
「今の越谷のバスケットは、練習から緻密にやっていて、少しの位置にもこだわるバスケット。今日のようにコーナーで待っていれば絶対にパスが来る。勝者のメンタリティーを持っている人が来てくれて、その中で僕の仕事はこれというのが今までと違うところです」
「勝者のメンタリティーを持っている人」にはもちろん桜木SVCも含まれるが、今シーズンはそこに安齋竜三アドバイザーや菊地祥平という優勝経験の持ち主も加わった。その状況を長谷川は「僕がプロを目指して大塚商会からアイシン(現・三河)に行ったときとちょっと似ている」と感じている。
「竜三さんと祥平さんが来て、新しいバスケットを学ばせてもらってるなと思うし、チャレンジのシーズン、充実したシーズンになっていると思います。特に竜三さんに関しては、バスケットに対しての情熱もありますし、遠征の移動中もずっとパソコンでデータを作ってくれているのを見ている。この人のために頑張らないといけないなと思わせてくれますね。一生懸命教えてくれて、厳しいし怖いけど(笑)尊敬してますし、僕だけじゃなくてみんなにとってすごい刺激になってます」