── その感覚が今も引き継がれていて、選手には素晴らしいシューターがいて、素晴らしいディフェンダーがいて、ヘッドコーチは素晴らしい戦略を立てる。あくまでも役割分担であって、そこに上下があるというよりは、それぞれのプロフェッショナル性を活かした仕事をしていく。そういう集団を作るという感じなんでしょうか。
そこに良い、悪い、っていうのをちゃんと言い合えるっていうことがすごい大事なんかなと思います。
── 選手、スタッフが自分ごと化するために行っている具体的なコミュニケーションの取り方はなにかあったりしますか。
けっこう練習中に選手同士で喋らせる時間はとってます。例えば基本的には毎日コーチミーティングを二時間くらいしてて対策も考えていって、ゴールがこういうふうになればいい、っていう最後の出口があるとするじゃないですか、ディフェンスで。でもそこにオプションが二つあるんだったら、選手が選んでいいなって思ってるんですよね。どっちがいいのか。そっちの方が選手も責任が出るし、自分たちが選んだことに対して遂行力は上がってくる。まずは選手がそこで決めたり考えたりする方がいいんじゃないかなと思いますね。そういうところも聞くし、練習中に紅白戦で分かれたとしても、「今なにが効くと思う?」とか、例えば今回はこういう相手やけどもガードに「今どういうセット効くと思う?」とか。今どういうリードがあったらいいなっていうのも喋ったりするし。もし選手同士でなんかあったら「そこでいっぺんちょっと喋ってみ」って言うて、その後「なに喋った?」って聞いたりとか。っていうのはしてます。けっこう喋る時間多いと思います。
── 逆に選手が戸惑うケースはありますか。コーチ陣が決めてくれないの?みたいな対応とか。
じゃあ逆に「俺が決めていいの?」って言います(笑)。「じゃあ俺の考えてきたやつでやって」って言います。(笑)
── それはそれで選手の決定、ってことですもんね。
そうですそうです(笑)。「いいのいいの? 俺俺、俺決める俺決める」って言ってます。(笑)
── ご自身が選手をされていたときになんとなく違和感を感じていらっしゃった、っていうのはそういう部分なんですか。
まあそうですね、やっぱり…負けてたチームのときほど喋ってなかったし、勝ってたチームのときのほうがよく喋ってたのかなあ、って思うし仲よかったんかなあっていう、まあ、主観ですけど。それは。
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE