「チームとしてCSを目指している以上は…」キング開
ルーキーのキング開は、ベンチスタートながらシーズンハイの13点と活躍。前半は劣勢の中で、第3クォーターは巻き返しを図る流れの中でいずれも投入され、チームにさらなる勢いをもたらせた。専修大学時代と変わらず、ディフェンス・ファーストで試合に入ったことが功を奏す。「本当に大事な場面で出されているからこそ、やっぱり簡単なミスとかはできないですし、そのままチームに良い流れをもたらさなければいけないという責任感もやっぱり感じていました」というプレッシャーの中で仕事を果たす。ルーキーであり、ミスをするのも当然である。その中において、ミスしてもすぐに気持ちを切り替え、やられてもやり返すように試合中にもどんどん成長し、自信に変えているように見えた。
「ドライブや前半にはバスケットカウントも取れましたし、自分の得意な部分を出していけばチームにも良い流れを与えられるということは、今日は結果としてできたと思うので、それはどんどん続けていきたいと思います」
この試合はファウルトラブルとなった新加入のデビン・オリバーとチャールズ・ジャクソンだが、「数字に残らないところ、あとは皆さんの目に映らないところのハードワークが本当に素晴らしい」と青木ヘッドコーチは高く評価する。「本当にスマートな選手たちなので得点だけではなく、アシストやスクリーンなどを献身的なプレーをしてくれている。それにより、フィールドゴール成功率が悪い割にはアシスト数がだいぶついている」という印象を持ち、彼らがチームのスタンダードを引き上げている。ゲーム中やコート内だけではなく、常に明るくポジティブな性格で、連敗中の若い選手たちが下を向かせないように存在感を示していた。
選手が噛み合いはじめ、大きな1勝を挙げた横浜BCはここからが本番である。ルーキーのキングが、「チームとしてCS(チャンピオンシップ)を目指している以上は、やっぱりこういう強いチームにも勝たなければいけない」とコメントし、横浜BCが変革のシーズンを本気で迎えていることを実感した。あとは、ポイントガードの河村がどこまで成長できるか…。個人スタッツは好調であり、素晴らしい活躍を見せている。だが、目指すべき姿ではないような気がしてならない。覚悟を持ってプロとなったことで責任を感じ、1人で戦っているようにさえ見える。キングと同じルーキーであり、最年少だからこそもっとチームメイトを頼って、ミスをしながら経験していけば、目指すべきチームを勝利に導く司令塔になれるはずだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE