「自分のプレーに迷いがあり、弱気なプレーが少し目立っていた…」森川正明
横浜国際プールでのホーム開幕戦は、2日間ともチケット完売。横浜ビー・コルセアーズのホームに迎えたのは、3勝1敗と好調なスタートを切った名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。初戦は4,015人のファンの前で惜しくも84-91で敗れる。しかし、青木勇人ヘッドコーチは結果だけではないチームの成長と自信に満ち溢れていた。翌日、前半にデビン・オリバーが2つ、チャールズ・ジャクソンは3つのファウルを犯し、40-52と劣勢に立たされる。9月のFIBAユーロバスケットでNBAやヨーロッパの屈強な選手たちと戦ってきたパトリック・アウダは、コンディション不良でこの日は欠場。ビッグマンを欠いた横浜BCは、前半で12点のビハインドを背負った。しかし、この危機的状況を12点差で凌げたことに青木ヘッドコーチも、チームもプラスに捉えていた。
逆転するために、ディフェンスを徹底することを強調して後半へ向かう。平均90.4点(※10月15日時点)を誇り、前日には91点を奪われて敗れたオフェンシブな名古屋Dに対し、厳しいチャレンジでもある。コート上では5vs5の同等の人数で争うバスケだが、満員のホームアリーナでは付加価値がつくものだ。「流れに乗り出したらファンがさらに盛り上がることで、それが選手にとってはストレスに感じることもある」と敵将ショーン・デニスの言葉どおり、名古屋Dの本来の力を発揮させなかった。前半の半分となる26点に抑えた激しいディフェンスがオフェンスにも好影響を与える。88-78で逆転勝利し、ホーム開幕節に集まった多くのファンに笑顔を届けることができた。
流れを呼び込んだ第3クォーター、コート上にいる選手たち自身が解決する姿に「思わず泣きそうになった」と感極まる青木ヘッドコーチ。自己解決できたことにより、本来の姿を取り戻したのが森川正明だ。前半、ボールを受けるとシュートを狙わず、そのままペイントアタックし、ディフェンスに潰されるシーンが多く見られた。河村勇輝からのスキップパスに対し、ディフェンスとの間合いが空いていてもやっぱり突っ込んでしまう。その姿を見て、思わず大根の桂むきをしたい衝動に駆られた(※注:スラムダンクより引用)。
青木ヘッドコーチは、「オープンで自分のシュートタイミングであれば打ち続けろ。その中での判断はプロバスケットボール選手としてのリスクであり、感性として尊重する」と常に選手には伝えている。昨シーズンは42.9%の高確率で3ポイントシュートを決めていた。しかし、今シーズンは25%に落ち込み、比例するようにメンタル面でも「自分のプレーに迷いがあり、弱気なプレーが少し目立っていたので、なんとか修正しようと思っていました」と森川はもがいていた。ハンドラーとして打開するタイプではなく、「チームオフェンスの中で自分の武器であるアウトサイドシュートやドライブするところをしっかり見極めて攻めるのが自分のポイント」である。単発なオフェンスで終わってしまったことで流れが悪くなった前半を反省しつつ、「本来はアグレッシブなプレーヤー」と自負する。後半、いつもどおりのタイミングで2本放った3ポイントシュートをいずれも成功させ、本来の姿を取り戻す。アウトサイドシュートが決まったことで、ディフェンスとの駆け引きも有利になる。積極的なドライブから得点を決めることもでき、14点の活躍で復活を遂げた。
「今日みたいな形ができれば、自分にとってもチームにとっても大きな力になるかな。少しは自分としても修正できたかなと思えたので、もっともっとステップアップして、また次の試合に活かしていきたいです」