「試合の結果を左右するほど熱いファンのエネルギー」でホーム開幕戦勝利
3週目を迎えたB2は、東西いずれの地区もすでに全勝がいない混戦状態ではじまった。昨シーズンより新規参入したアルティーリ千葉は1年目でB2への昇格を果たし、千葉ポートアリーナをホームに最速でのB1昇格を目指す。4試合を終え、青森ワッツに開幕2連勝するも、続く山形ワイヴァンズに2連敗を喫し、2勝2敗。アンドレ・レマニスヘッドコーチはB3リーグと、完全プロリーグのB2を比較し、「タレントやスキルレベル、身体能力やスピード、身長などがそれぞれにおいて少しずつ高く、本当に良いリーグだという印象を持っています。特に日本人選手のシュート率が高く、また判断力が良いので、とてもチャレンジングなシーズンになっています」と率直な印象を述べた。
昨シーズン、はじめてB2プレーオフに進出し、勢いに乗る福島ファイヤーボンズを迎えたホーム開幕戦。3千人を超える多くのファンの前で84-65と圧倒し、3勝目を挙げた。前節で連敗した後、「月曜日のチームミーティングから、いろんなことをそれぞれの選手と話しましたし、コーチともいろんなコミュニケーションを取りました。1週間で自分たちが変われたことが非常に良かったなと思います。選手それぞれが変えようと意識し、コーチの話を聞いて変われたところが結果に出たので、非常にいいチームだなと思っています」とキャプテンの大塚裕土が言うように、成長が見られる1勝となった。大塚の足元を見れば、特別仕様のシューズがチーム愛を物語ってもいた。
昨シーズン、10試合行った千葉ポートアリーナでのホームゲームは1敗しかしていない。「試合の結果を左右するほどのエネルギーを、皆さんから受け取っています。選手たちがコート上で強度を高めなければいけない、良いパフォーマンスをしたいというモチベーションになっており、本当にファンの皆さんの力がポジティブに影響していると感じています」というレマニスヘッドコーチは、ホームコート・アドバンテージに感謝する。前半は35-36と1点ビハインドだったが、その後の20分間で20点を巻き返した大きな要因となった。
プレー面ではレマニスヘッドコーチも大塚キャプテンも、ディフェンスの成長を挙げた。「特にディスラプション・ディフェンス(破壊的なディフェンス)と呼んでいますが、常にプレッシャーをかけ続けることがバックコートからでき、相手のフィールドゴールは37.3%、3ポイントシュートも25%と低く抑え、15本のターンオーバーを与えられたことはディフェンスの成長が見られた証です」とレマニスヘッドコーチは振り返る。「自分たちのディフェンスを信じてアグレッシブに行った結果、最後は20点近く離れて勝つことができました。そのゴールをぶらさずに、自分たちが練習してきたことを信じてプレーしたことで、今日の結果につながったことはチームとして自信を持つべきだと思います」という大塚もディフェンスの成長を実感するとともに、ホーム開幕戦をファンとともに笑顔で終われたことに安堵の表情を見せた。
大きく成長を見せる最年少・藤本巧太に足りない経験値
昨シーズンの終盤から、B2へ舞台を移した前節まで先発で起用されていた藤本巧太。トライフープ岡山を下してB2昇格を決めた昨シーズンのラストゲームでは17点を挙げ、5試合を終えたB2でも平均13.2点をマーク。5戦目の福島戦は過去に唯一、ライジングゼファー福岡をB3からB1まで2年という最短で昇格させた経験を持つ小林大祐が先発に復帰。相手に流れが傾いた序盤から、ベンチで戦況を見つめる藤本に出番が回ってきた。コートに入るや否や、ディフェンスで前からプレッシャーをかけて攻撃権を奪い、テンポを上げていったことで流れを奪い返す。「常に一生懸命に努力を怠らない選手のお手本」とレマニスヘッドコーチは最大の賛辞を贈るとともに、「若い選手の成長を見られることがコーチとしての醍醐味」と目を細めた。