でもまだまだ、僕たちには足りていない部分もあります。昨シーズン、上位チームと対戦したときに痛感したのは、ひとつひとつのプレーにおける判断の精度。準備したディフェンスだったり、オフェンスの狙いだったり、チームの意図したかたちを遂行できないことが多かったです。それに加えて、ゲームの中でコート上の各個人がもっと判断の質を高めていかないと、流れの変化に対応していけないとも感じました。
年長の選手として、ゲームとか練習中も気づいたことは言うようにしていて、ひとつひとつのプレーに対して、今のはこういう判断がよかった、とか、そういうのは若い選手たちに伝えています。なにかチームの中で不明瞭な点があれば、守り方や攻め方についてコーチ陣に質問をして、返ってきた答えをみんなに共有したりとか、そういった役割は意識してやるようにしています。昨シーズンは広瀬(健太)さんが、ハーフタイムとか試合が終わった後にみんなを集めて話してくれていたんですが、今年はもういないので。
でも僕がひとりでベラベラ喋るというよりは、ちゃんと冷静に状況を見て、そのとき必要な声かけをポイントポイントでできればいいのかなと思っていて。だからこそ、ちゃんと感情をコントロールして余裕を持ちたいなと思っています。
── 僕の勝手なイメージで、千葉Jのときは今おっしゃったコーチとのパイプ役のような立ち位置にはなかったように思うのですが、それはSR渋谷に来てからやるようになったのですか?
ジェッツのときもそういう仕事を意識してはいました。例えば、外国籍選手が試合中にチームの約束事を忘れてしまったときにコート上で確認をしたりとか。あとは勇樹(富樫勇樹・千葉ジェッツ)とコミュニケーションをとることが多かったので、次にこう攻めよう、とか、コート上で選手同士のやりとりは積極的に行っていました。でも確かに、コーチの指示を聞いてそれを共有するという感じではなかったかもしれません。ジェッツのときは自分のことで精一杯だった部分もあったので、サンロッカーズに来てはじめて、コート以外の時間とか、チームがどう向かっていくか、方向性みたいなところにも気を配るようになったのかなと思います。
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE