自分が得点を取りたいとか、とにかくアタックがしたいからピックを使うというよりも、チームの役割の中で自分がこうしたほうがいいとか、流れがよくなるであろうことをやったほうがいいと思っていて、それを都度、選択したい。チームの流れがよくなることをその場でしたい。そのためにできることは増やしておきたいって感じです。プレーの幅を広げたい、と思ったのもサンロッカーズに来た理由の一つですが、それとは別に、自分が責任を負って、大きな責任を負えるような環境でプレーしたいという気持ちも強かった。それに対するこの3年間のチャレンジだったり成果にある程度、満足しているところはあります。
でも一昨年のシーズン、サンロッカーズに来て2年目のシーズンでは、自分の中でシュートとか、プレーの調子が全然よくなかった時期があって、それは今までほとんど経験したことのないものでした。結果的に原因はトレーニング量だったり、フィジカル的な要素が大きかったんですけど、その時期を経験できたことも自分自身を見つめ直すいいきっかけになりました。チームのスタッフやチーム外の専門家にも助言をもらいながら自分の身体の特徴、特性とかメンタル的な部分に向き合って、ああ、やっぱこれだよな、っていう感覚を掴めました。けっこう新しいものが好きなので、いろいろと試したいし、変えることに恐れはないタイプなのですが、それがうまくいかないこともあるんですよね。このときは新しく変えたやり方を戻すかたちで解決しましたが、でもそういうのがわかっただけでも新しいことに取り組む価値があったのかなと思っています。
ただ、なんだかんだでチームの最年長になってしまったので、もうちょっと余裕を持ってプレーできるようにもなりたいですね。もちろん以前に比べれば落ち着いたプレーができるようになってきている実感もあるけれど、まだけっこう感情が「ばーっ!」、と出てしまうことがあるんです。審判だったり、相手だったり、味方だったりに影響されてたまったフラストレーションがプレーに現れてしまうところは改善していきたいです。感情のエネルギーを悪い方向にではなく、常にいい方向へ持っていけるような、ベテランの余裕、というか…。純粋にバスケットを、いい意味で気楽にプレーできるようになりたいと思っています。
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE