「どうしたらダンスを続けていけるかなと思ってダンス仲間とも将来の話をいろいろして、例えばテーマパークダンサーもいいなぁなんて思っていたんですけど、経験があったわけでもないですし、クラシックバレエしかやってこなかったので、他のジャンルにも挑戦していくにあたってやっぱり幅広く学べる所に行こうと思ったんです」
専門学校を卒業して以降は、様々なオーディションを受けながら、顔見知りのダンサーや専門学校時代の教員から紹介されたダンスの仕事を単発でこなす日々。それだけでは生活が成り立たないためアルバイトもやってはいたが、高校生のときに思い描いたダンス中心の人生に足を踏み入れた。
ほどなくして世界をコロナ禍が襲い、ダンスのオーディションやイベントも減っていったが、そんな折にダンス仲間からアルファヴィーナスのオーディションに誘われる。先に書いたように運動の苦手なHazukiは当然バスケットの経験はなく、「恥ずかしながら、体育の授業でもできればやりたくないなぁって(笑)」と遠ざけたいくらいだったとのこと。もちろんバスケットの世界のことはほぼ何も知らず、チアダンスの経験もなかった。
「父はバスケットの経験者なのでたまにTVで見ることはあったんですけど、NBAが多かったので、日本のバスケットを目にする機会はほとんどなかったですね。友達に野球のチアのオーディションを受けようという人はいたので、SNSでプロスポーツのチアを見ることもあったんですけど、バスケットのチアを見たこともほとんどなかったです」
それでも、アルファヴィーナスのオーディションを受けることは全くためらわなかった。表現の場を得るチャンスが目の前にある以上、右も左もわからなくてもとにかくやってみようというチャレンジ精神で、Hazukiは見事にアルファヴィーナスのメンバー入りを果たす。その後の2シーズンの活躍は越谷ブースターのみならず、多くのBリーグファンが知るところだが、Hazuki自身もその2シーズンでバスケットの面白さを知った。
「やっぱり、展開の早さが経験のない人でも楽しめるところだと思います。高校や地元の友達が見に来てくれることもあるんですけど、詳しくなくても周りと一緒に楽しめるのが良かったと言ってくれます。私自身、ホームゲームはしっかりと見ることができないので、たまにアウェー戦に行くこともあって、『今のは何のファウルだったのか』とか『どういう攻め方をしているのか』とか今でもわからないことは多いんですけど、それでも2時間くらいがあっという間で、他のブースターさんとも一緒に盛り上がれるのが楽しいですね」