「自分たちのバスケットに対して自信を持てるようになっている」安齋竜三ヘッドコーチ
インサイドの主力を欠き、その復帰も未定であるA東京は、平岩玄と吉井裕鷹の経験浅い2人が奮闘する。宇都宮戦も、前節のビッグラインナップを誇る川崎を相手にも、ファウルを抑えながら身体を張っていたのが印象的だ。彼らに対し、「戦う姿勢を見せ、より強度を上げて戦うこと」をパヴィチェヴィッチヘッドコーチは求めている。サイズも能力も上回る外国籍選手に対し、「もっとエネルギーを溢れるプレーをし、もっとスピードを活かし、その差をカバーして欲しい。特にディフェンスとリバウンドのところではもっと球際を強く、例えばルーズボールは必ず自分たちがもぎ取るような強いプレーをしなければいけない」と続け、実際に泥臭いプレーでピンチを救っていた。「ひとりでは守れないので、そこをチームでカバーしながらディフェンスすることが一番大事になる」と小酒部も話しており、チーム力で上回ることができる。その姿を最後のホームゲームで示し、ファンにとっても期待高まるチャンピオンシップを迎えられるはずだ。
4位のまま終わった宇都宮は、チャンピオンシップの初戦でいきなり東地区1位の千葉と対戦する。安齋竜三ヘッドコーチは、「成長し続けなければいけないチーム。今日の反省をしっかりと糧にして、チャンピオンシップにつなげていきたい」とプラスに捉えていた。終盤にかけて東地区上位チームに全て勝利したことで、「自分たちのバスケットに対して自信を持てるようになっている。チャンピオンシップは一発勝負であり、そこでどのくらい自分たちのバスケができるかが重要になってくる」と指揮官は及第点を出し、全ての準備は整った。
アリーナ立川立飛はA東京のホームだが、半分近くがブレックスカラーの黄色に染まっていた。チャンピオンシップにおいて開催権を得た上位チームは『100%ホーム』で埋め尽くさなければ、足元をすくわれ兼ねない。コロナ禍によって声を出して応援できず、人数に関係なく声量で上回れないのは残念だが、ファンの力でいくらでも環境を変えられる。
順位が確定しないまま迎えた最終戦は、全てを出し尽くしたように見えた。だが、チャンピオンシップを見据えて手の内を隠していたかもしれない。これからが本番であり、たったひとつの頂点を目指す総力戦がはじまる。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE