2人のヘッドコーチから貪欲に吸収し、実戦を通して成長し続けるルーキー
レギュラーシーズン全日程を終えたB2は、今週末よりプレーオフを迎える。東地区1位のファイティングイーグルス名古屋、同じく西地区を制した香川ファイブアローズを中心に、B2チャンピオンを決めるクライマックスへと突入する。B1クラブライセンスを交付された上位2チームがB1昇格を果たす。
5月2日のB2最終戦、越谷アルファーズに87-82で競り勝った青森ワッツ。通算5勝47敗は東地区最下位と悔しい試合が続いたが、ルーキーの駒沢颯にとっては充実できたシーズンでもあった。最後に2連勝を挙げ、4月30日のアースフレンズ東京Z戦では30点・12アシストのダブルダブルを達成し、いずれもキャリアハイを記録する。
「最初はすごい硬くなってしまって、最後の観客の前での試合ということもあったせいか、自分でもシュートを打つときの感覚が分からないくらいプレッシャーを感じていました。単発なシュートが多かったですが、第2クォーター以降は相手のジョシュア(クロフォード)選手がほぼ試合に出ているので疲れもあり、ミスマッチなのでそこを攻めることを意識していました。それが得点につながったと思います」
今シーズンを通して得点面では一定の活躍を見せており、平均12.8点はB2得点ランキングで日本人トップに立つ。B1の富山グラウジーズと対戦した天皇杯でも13点を挙げた。フェルナンド・カレロ・ヒルヘッドコーチは「この2ヶ月間でしっかりと成長している。30点を記録したことよりも12アシストの方が重要であり、良い状況判断ができるようになってきた」と評価する。
その判断力について駒沢も、「これまでは無理してしまう部分があり、突っ込みすぎて相手がブロックに来ても構わずにレイアップシュートに行ってしまって外すことが多かったです。でも、フェルナンドヘッドコーチには状況判断とアシストの重要性を常に指摘され、もっとまわりを見るように言われてきました」と課題を克服し、シーズン終了間際に開花した。
ボールを持つ機会が多いポイントガードであり、さらに得点力も高い駒沢へのディフェンスは当然厳しくなる。そのプレッシャーに対し、ターンオーバーをする機会も少なくはなかった。しかし、4月27日の仙台89ERS戦ではひとつもターンオーバーをせず、残る2試合も1~2本と最小限に抑えてゲームメイクができるようになった。「仙台戦でも相手はめちゃくちゃ体を当ててきましたが、当て返すプレーを覚えたことでスペースができ、余裕を持ってドリブルすることを心がけました。それによってターンオーバーも減り、まわりを見ることもできるようになりました。試合を通して、相手から学ぶこともあったと思います」という駒沢は49試合出場し、実戦を通じた経験によって大きく成長できた。
将来は日本のトッププレーヤーになる可能性を秘めた188cmのビッグガード
青森県出身、188cmの駒沢は、八戸学院光星高校ではオールラウンドに活躍し、全国大会出場。日本大学へ進学すると同サイズのフォワードが多い中、「そんな仲間たちを活かすポイントガードにならないか」と城間修平ヘッドコーチからコンバートを勧められる。大学時代はパスを出す役割に徹し、「あまりゴールに向かって攻めるようなプレーはしていませんでした。でも今は、大学のときとはプレースタイルが全く違って、点数も獲りに行くし、自分にディフェンスを寄せてパスを出すプレーを意識しています」と進化し続ける期待のビッグガードである。