今シーズンよりはじめてB1に挑む群馬クレインサンダーズは、3月20日の千葉ジェッツ戦に2連敗し、16勝20敗で東地区7位にいる。B2から昇格したばかりの群馬だが、来日したばかりのオンドレイ・バルヴィン以外、特別指定の八村阿蓮を含めた12人全てがB1経験者である。
宇都宮ブレックスとの開幕戦を2連勝し、最高のスタートを切った。その後は同じ東地区のチームに苦戦したが、西地区のチームから白星を挙げ、東地区の上位争いに顔を出していた。現在首位に立つ琉球ゴールデンキングスにも1勝を得ている。しかし、12月15日の川崎ブレイブサンダース戦から勝てない時期が続き、その後の10試合は1勝9敗だった。トーマス・ウィスマンヘッドコーチは苦しい時期からこれまでについて、このように語る。
「シーズン中に外国籍選手が3人同時に負傷し、一度にいなくなったケースやコロナ感染も2度あり、全員が揃わない期間が長かった。今も3人の選手が陽性判定を受けているが、それでも選手が戻ってきたことが大きい。少しずつチームとして活動できる時間が増えたことで、調子が上がってきた」
2月に入ると群馬は息を吹き返し、東地区2位の川崎に2連勝を挙げた。群馬の強みは、平均83.6点(リーグ6位/3月20日現在)の攻撃力である。3月16日の横浜戦は前半こそ劣勢に立たされたが、ウィスマンヘッドコーチが掲げる「フルコートで戦うスタイル」を貫き、逆転勝利で3連勝を飾った。2月2日の三遠ネオフェニックス戦から数え、5勝1敗と調子を上げていた。
しかし、平均90.4点でリーグトップの得点力を誇る千葉に2連敗したのは前述のとおり。反省点は、オフェンスリバウンドを取られてしまったこと、そこからセカンドチャンスポイントを奪われたこと、そして3度目の対戦でも富樫勇樹に20点以上決められたこと。富樫を抑えるためにどうすべきか、とウィスマンヘッドコーチに問えば、「どう守れば良いか、逆に聞きたいよ(笑)」とお手上げだった。
「第1クォーターでスペースを空けてしまった部分もあるが、富樫選手は素晴らしいプレーヤーである。楽しんでプレーしており、その中でもタフショットを決めてくるのでなかなか守りにくい。ただ、明日はそこにアジャストしていけるように準備したい」
2戦目はその言葉どおり、富樫自身は9点に抑えたが、7アシストと気持ち良くチームメイトを使って得点を重ねられ、74-103と大差で敗れてしまった。しかし、いずれもアウェーゲームであり、2月2日からずっと遠征が続いている。ようやくホームへ戻る今週水曜ゲームは、前回対戦で2連勝した川崎を迎える。ファンにとっては、成長した姿が見られることを楽しみにしているはずだ。
ウィスマンヘッドコーチは、B1でも通用するオフェンス力に手応えを感じていた。さらに、その武器で相手を上回るためにも、「より良いボールムーブメントをして、より得点を取って勝利をつかみたい」と精度を高めていく。
75-88で敗れた千葉戦、残り1分36秒で12点差をつけられ、白旗を挙げるようにウィスマンヘッドコーチは主力選手の交代を告げた。自分が交代されることに驚き、渋々とベンチに下がるジョーンズの姿が印象に残る。最後まで闘争心と集中力を切らすことなくゲームに没頭していたことが、群馬の攻撃力の源になっているように感じた。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE