「選手同士で話し合い、自分たちのスタンダードを上げようという気持ちで挑んだ今日の試合はチームがひとつになって戦うことはできていた。絶対に間違っていない方向に向かっており、修正もできている。だからこそ、強い気持ちを持ってみんなで最後までプレーを遂行し、勝ちにつなげていきたい」
思うように勝てず、一歩間違えれば “負け慣れ” が生じる横浜において、河村は「新しい風を吹かせていきたい」とキング開とともに話しているそうだ。そのキングはリバウンドやルーズボールを追いかけ、試合に向かう選手たちの背中を押す大庭岳輝ら今シーズンからの新戦力がチームに好影響を与えていた。「チームを活気づけたい気持ちは強い」と河村は続け、その思いを常にキングと分かち合いながら、勝利への執念を見せる。彼ら二人の強みは高いコミュニケーション能力であり、「若手だからといってコート内外で発言を控えるのではなく、キング選手もポイントガードに近いポジションなのでとにかくコミュニケーションを取ることは必要です。先輩後輩関係なく、自分が思っていることは伝えています」とすでに行動や言動に移していることも、チームの結束力が高まっている要因である。
後から入って来た河村とキングがしっかり準備してチームに合流してくれたことを評価し、「彼らの力を思う存分発揮できるように、先輩たちがサポートし合ってきた結果である。彼らのポテンシャルにプラスし、先輩たちもそれぞれのキャラクターを発揮してプレーできている。何かあれば、先輩たちがサポートしてくれることが相乗効果となり、負けは込んでいるが、チームとしての方向性を見失うことなくここまで戦えている」と青木ヘッドコーチは言う。その雰囲気はブースターにも伝わっているからこそ、残る1/3で勝利の喜びを分かち合う瞬間を積み上げていくだけである。
パリオリンピック出場を目標に掲げ、河村はプロの世界に飛び込んだ。しかし、昨夏とは違い、その切符が手にできるかどうかは全くもって分からない。来年のワールドカップの結果次第であり、2年後ではなく今年から日本代表に入ってアピールしていくことが求められ、思っているほど時間はない。日本代表も、横浜も、チームを勝利に導かねばならない状況は同じである。
「日本代表の高いレベルでプレーし、ワールドカップで活躍するためにも、まずはBリーグの高いレベルでもチームを勝たせるポイントガードにならなければいけない。それができなければ、もっともっと高い世界の舞台で活躍したり、チームの勝利に貢献することも難しいと思っています。まずは、今いる環境のビーコルで、まだまだ20試合近く残っているので、最後までチームの勝利に貢献できるように……いや、そうではなく、チームを勝たせるポイントガードになるための言動やプレーをしていきたいです」
今週末は、18歳のときにB1のコートにはじめて立った三遠ネオフェニックスとの凱旋試合に臨み、来週水曜は横浜国際プールに戻ってきて千葉ジェッツ戦が待っている。いずれも東海大学の先輩である津屋一球(三遠)、大倉颯太(千葉)との対戦も楽しみのひとつ。日本代表の富樫勇樹(千葉)とのマッチアップは、パリオリンピックへ向けた現在地を知る機会となるはずだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE