日本一になった学生時代とのギャップ
現在平均84.2点、リーグ6番目の攻撃力を誇る群馬クレインサンダーズを相手に、前半を37点に抑えた横浜ビー・コルセアーズは46点を奪ってリードしていた。「チームとしてやるべきことを遂行し、戦う意識を全面に出してとても良いプレーができていました」と河村勇輝が言うように、最初の20分間は満足のいく内容だった。
東海大学中退を決めた河村は、特別指定選手として今シーズンを全うし、さらに来シーズンからプロ選手として横浜でプレーすることを発表。覚悟を決めて新たにスタートを切ったが、なかなか結果につながらない。ホームである横浜国際プールに戻ってきた群馬戦は、ようやく勝利に手が届くかと思われた。しかし後半は、群馬の攻撃力に圧倒されるように、84-92で逆転負け。
全く異なるチームとなった後半に対し、「集中力が切れてしまった時間帯があり、最後のクラッチタイムでは相手のプレーの方がひとつもふたつも上だったと感じました」という河村は、40分間自分たちのプレーを遂行し続ける大切さを噛み締める。レジナルド・ベクトンとともに、チームハイとなる17点の活躍を見せたが、「自分のスタッツは関係なく、しっかりとゲームを支配して、勝利に貢献できるようなプレーをもっともっと出していかなければならない」と自責の念に駆られる。
福岡第一高校でも、東海大学でも、勝つことが当たり前であり、日本一へ導いてきた。常勝軍団からなかなか勝てない横浜の現状に対し、「確かにギャップはある」と河村はもがいている。
「チームを勝たせるポイントガードではなかった。それは間違いないです。得点を取ることなのか、アシストすれば良いのか、自分が何をすればチームが勝てるのかを考えてプレーしていかなければいけません。試行錯誤が続く毎日ですが、自分のプレー以上にチームの完成度をもっともっと高めていかないと、群馬のような順位がさほど変わらないチームにも勝てないことが、今日の試合で証明された感じです。もう一度、チームとして何が足りていないかを考えていきたいです」
しかし、今置かれている状況に対してネガティブにばかりは捉えていない。「厳しい環境に置かれていることが自分の成長につながると思っています。1勝の難しさがあり、逆に勝つことのありがたみやうれしさに対して新鮮に感じられています」とこの苦難を楽しんでいるようでもあった。
キング開とともに「新しい風を吹かせていきたい」
13勝25敗、東地区9位の横浜にとって、「ここが正念場になる」という青木勇人ヘッドコーチ。群馬に敗れて6連敗、そのほとんどが80点以上を奪われ、20点以上の大差をつけられた。思うように勝てない場合、ベンチでの選手の行動を見ればチームの空気が分かるものである。2月6日にレバンガ北海道を相手に2連勝して以来となる横浜国際プールであり、足繁く通うブースターは変化があれば、すぐさま察知してしまうだろう。しかし、最後まで手を叩いてチームを後押しし、逆転を祈る姿を見れば、チームとともに戦う決意が最上段の席にも伝わってきた。苦しい状況ではあるが、チームとして士気が高まっていることを青木ヘッドコーチはこう明かす。