── どう動くかがデザインされていると。
はい。ただ素晴らしいチームというのは、その両方ができるのかなと思っています。“プレー”でおこなうことはもちろん、周りの選手も含めて、ディフェンスのシチュエーションを見て、ポップをダイブに変える、もしくはダイブをポップに変えることができるのでしょう。アルバルクでも今、“プレー”の範囲内ではありますが、たとえばピック&ポップでも、自分のディフェンダーを見て、ポップする距離を変えています。自分のディフェンダーがボールマンにすごく寄っているのであれば、ポップの距離を伸ばしたほうがシュートを打つまでの時間がたくさんあるのでイージーなシュートが打てます。ピック&ロールでも、中に引っ張られるのであれば、ロールをショートロールにして、ドリブルを1つ、多くても2つにしてダンクに持っていきます。システムの中でもポップの距離やダイブのタイミングは変えています。
── その判断は選手に任されているのでしょうか?
基本的にはチームが定めているスペーシングの中での判断および動きになります。ポップの場合であれば、私個人としては隣の選手との距離がだいたい15~18フィート(5~6メートル)を保つように考えています。ジャワッド(・ウィリアムズ。山形ワイヴァンズ)や(2019-20シーズンで現役引退をしたミラン・)マチュワンはダイブよりもポップのうまい選手だったので、彼らは意識してポップの距離を多めにとって3ポイントシュートを狙っていましたが、基本的にはチームが定めているプレーの中で完結するように考えています。今シーズンのアルバルクでも、“新しい”安藤(周人)やザック(・バランスキー)などよいシューターがいるので、私がポップするときには逆サイドのディフェンスが「ヘルプに行けるか、行けないか」の判断に迷うような、ちょうどよい距離、いい場所にポップするようにしています。そうすることでヘルプが来たら彼らシューターにパスを出せるし、ヘルプが来なければ自分がシュートを打てます。そうしたよい距離感を心がけてポップをして、スペーシングを取るようにしています。
── 判断してスペーシングを取ることは得意ですか?
そうしたスペーシングの取り方は、正直なところ感覚的なところがあります。というのも、やはりヨーロッパでも、アルバルクに来てからも、ピック&ロールを使う機会が増えてきているので、ボールユーザーがどこにいるのか、シューターや周りの選手がどこにいるかで、自分なりの感覚で身につける必要がありました。ピック&ロールは常にボールをサイド・トゥ・サイドに動かすことでアドバンテージが取れると思っているので、ポップの距離やスペーシングを取る距離も、どのシチュエーションがベストかと考えながら、動いています。1回目のピック&ロールでサイド・トゥ・サイドし、2回目の、逆サイドでのスクリーンにつなげるためには、これくらいの距離を取った方がいいなど、やはり感覚的ではあるんですけど、たくさん使うことで身についたものだと思っています。