泥にまみれてもなお清々しく(中編)ピック&ロールで重要なのはスペーシング より続く
来日した当初は日本特有のディフェンスに苦戦しながらも、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが敷くスペーシングを巧みに使い、判断力の優れたユーザーたちとともにリーグ連覇、およびアジアチャンピオンシップで優勝を果たしたアレックス・カーク(アルバルク東京)。
カークによる「ピック&ロール」論の最終編は、スクリーナーとしての視点から話を聞いてみた。
目的と動きを理解し、ディフェンスを理解する
── カーク選手はスクリーナーになるわけですが、スクリーナーにはどういった要素が求められますか?
もちろん基礎の部分、つまり、いいスクリーンをセットして、ディフェンスにヒットして、ユーザーのアドバンテージを作る、ユーザーのディフェンスに後れを取らせる基礎は大事です。ただ私が最も大事にしているのは、「そのピック&ロールの最終的な目的が何か」を知ることです。そのスクリーンは得点に絡もうとしているのか、セットオフェンスの一部に過ぎないのか。そうした目的をしっかりと理解して、それに対する動きを理解すること。目的と動きを理解した上で、次にディフェンスが何をしてくるかをしっかり見て、そのディフェンスを理解することも大事になってきます。たとえば、そのピック&ロールの目的が、ダイブからの得点につなげることであれば、ディフェンスがどう守るかを見て、どのようにカウンタームーブをしたらゴールに辿り着けるかを頭の中でしっかりと理解して、ピック&ロールをおこなうことが、スクリーナーとして一番大事なスキルだと思います。
── カーク選手はダイブからのダンクも得意だし、ポップから3ポイントシュートも打てます。その使い分けはチームの戦術に因るものですか? それとも自分の判断でしょうか? 判断であれば、どのような基準で判断していますか?
今のアルバルクのシステムではだいたいが“プレー”に則って、ポップなのか、ダイブなのかをおこなっています。というのも、やはり周りの4人の選手が、私が何のプレーを選択するのかをわかっていなければ、スペーシングとしてよくないからです。たとえば4番ポジションの選手、ライアン(・ロシター)やセバス(チャン・サイズ)がローポストにいるのに、私がむやみにピック&ロールからダイブをしても攻めるスペースがないし、ユーザーもそこで何かを生み出すことができません。周りの選手を見ながらも、アルバルクではだいたい“プレー”で動いています。