── 今、何人かのユーザーの名前が挙がりましたが、アルバルク以外のB.LEAGUE選手で上手だなと思えるユーザーはいますか?
答えは簡単です。誓哉です(笑)。ただ、その質問はそもそもユーザーに何を求めるかで異なります。たとえばユーザーにシュートを求めるのであれば、やはり千葉ジェッツの富樫勇樹選手でしょう。今の千葉は高い位置でのピック&ロールをすることによって、ほとんどの確率で富樫選手が3ポイントシュートを打ってきます。ユーザーにシュートを求めるのであれば、富樫選手のピック&ロールは優れていると言えます。また、これまであまり言ってきませんでしたが、比江島慎選手(宇都宮ブレックス)も優れたユーザーです。特にシーホース三河時代の彼のピック&ロールの使い方は非常にうまくて、いいユーザーだなと感激した記憶があります。
── 比江島選手はどのあたりにうまさを感じていたのですか?
彼は大貴と同じように、ユーザーとしては周りの選手よりもサイズがあります。そのためピック&ロールからのペイントアタックでアドバンテージが取れていました。またジュリアン・マブンガ選手(富山グラウジーズ)のように、スピードだけで相手にアタックするのではなく、緩急をつけるなど彼独特のペースがあったので、そこからの駆け引きがすごくうまいと思っていました。それを含めて、当時の三河のオフェンスは彼がコントロールしていたと感じていたほどです。もうひとり、最近でいえば、名古屋Dの拓実も優れたユーザーです。元々アルバルクにいた選手ですが、当時に比べてもピック&ロールの使い方が上達していますし、今の名古屋Dのシステムにも合っているように思います。コートの上では一番小さい選手ではあるんですけど、ペイントアタックもできますし、毎回正しいスポットにいて、正しい判断ができるのが彼の優れているところだと思います。
日本特有のディフェンスに苦戦したファーストシーズン
── 近年、と言っても、もう20年近くになるのでしょうか、ピック&ロールが世界的にも本流になってきています。カーク選手が初めてピック&ロールをしたのはいつだったか、覚えていますか?
高校時代はレベル的にピック&ロールを使える選手が少なかったので、そこまで使うことはありませんでした。ニューメキシコ大学時代もそこまで使うことはなかったです。バスケットのトレンドとしても、そこまでピック&ロールが中心にあったわけでもなかったですから。GリーグやNBAでもピック&ロールは見てきましたが、そのときはどちらかというとピックからポップするプレーのほうが多く、今ほどピック&ロールの良さには気づきませんでした。その後のヨーロッパ、まずイタリアに渡ったときに、ユーロリーグで一緒にプレーしていたガードが本当にいいユーザーで、ダイブ、もしくはポップする私をうまく使ってくれました。周りにいた選手、昨シーズンアルバルクにもいたデション・トーマス選手とプレーしたときも、彼がすごくいいスペーシングを取ってくれていたので、そこからピック&ロールが今のようにしっかり使えるものだと気づきました。ヨーロッパでやったピック&ロールが一番記憶に残っている、いいピック&ロールです。