昨シーズンは、ディフェンスに意識を向けたことでチーム最小となる平均78.5失点に抑え、Bリーグでの歴代最多となる19勝を挙げた。しかし、現状は平均80.9失点と増えている。この点について森井は、「昨年よりもテンポが上がっている分、失点の増加につながってしまっています。もうひとつの課題として、相手のスコアラーに対してうまく守れていない場面が何試合かあり、またターンオーバーから速攻による失点も多いです」とその課題は明確になっていた。
それを踏まえて臨んだ北海道戦ではターンオーバーを抑え、初戦はたった5本だったところにも成長が見られる。「ターンオーバーせずに良いシュートで終われば、良いディフェンスにつながる部分は体現できました。オフェンスの終わり方も含めて、エネジー溢れるディフェンスをすることを、僕が出ている時は常に体現できれば、その後の時間もみんなが引き継いでくれると思っています。そこは特に意識して取り組んでいます」と森井は続け、上昇する兆しが見られる試合となった。
「もっと上を目指せるチームになっていくという手応えはある」青木勇人ヘッドコーチ
これまで挙げた数字はチャンピオンシップ出場を争う上位チームと比較すれば、けっして褒められるものではない。北海道に2連勝を挙げたことで順位が入れ替わった横浜だが、現在東地区8位 ── 下から数えた方が早いのはこれまでと変わらない。
しかし、ファーストシーズンは途中で離脱した青木ヘッドコーチが改革を行い、今シーズンの横浜はチームワークの良さが感じられる。青木ヘッドコーチは言う。
「今後へ向けて、誰が出てもしっかりと全員が自分の強みを持ってプレーしながら、強度を落とすことなく戦い続けられるかどうか。それができれば、もっともっと上を目指せるチームになっていくという手応えは、今のところある。そこをチームとして再確認しながら進んでいきたい」
新潟アルビレックスBB時代からともに戦ってきた森井だからこそ、「ヘッドコーチの目指すバスケを一番分かっており、逆にヘッドコーチも僕の良さや弱みも分かって接してくれていると思っています」という信頼関係が、少しずつだが結果としてあらわれはじめている。森井もチームが一つになってきていることを実感していた。
「他のメンバーもヘッドコーチが求めるバスケに対し、シーズンが半分過ぎた現段階でどんどん分かってきています。意思疎通がもっと取れてくれば、もっと勝ちにつながってくる。連勝することはもちろんですが、連敗しないことにつながるのではないかと思っています」
チーム史上最多となる20勝をクリアすることが最低限の目標となる。だが、まだまだ折り返したばかり。チャンピオンシップ圏内までゲーム差6.5は射程圏内である。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE