第2クォーター残り3分25秒、ニュービルは早くも3つのファウルを犯していた。しかし、天日謙作ヘッドコーチは「スマートな選手なのでファウルトラブルにならない」と意に介せず、そのまま続投する。実際、その後は1つもファウルをせず、誰よりも長い35分間出場し、戦い続けた。「スコアリング能力がすごく長けている。体力的にも36〜38分出場し続けても大丈夫」と指揮官も信頼を寄せるタフガイ。本来であれば、橋本拓哉も大阪の得点源であったが、昨年11月に今シーズン絶望となる右アキレス腱断裂の大ケガを負った影響も大きいと天日ヘッドコーチは言う。39歳のベテラン、アイラ・ブラウンとともに30分以上起用し、大阪の原動力となっている。
昨シーズンからともに戦う中村浩陸やエリエット・ドンリーら若手選手にとっては、「練習中からディージェイの動きをよく観察し、プレーを真似しようとしている。上手い選手を真似ることは選手にとっても大事なこと」と天日ヘッドコーチは明かし、2年目のニュービルは良き手本となり、チームに好影響を与えていた。天日ヘッドコーチとの信頼関係もまた、ニュービル自身のパフォーマンスを高めている。
「天日さんは試合に向けたアジャストでチームを支えてくれており、自分も含めて全員に対して、良いポジションでボールを回すように指示し、自信を持ってシュートを打てるような声がけをいつもしてくれる。選手を鼓舞する良いヘッドコーチであり、それによって試合中はいつも通りアグレッシブにプレーできている。自分にとっても、天日さんが自由にプレーさせてくれることでとてもやりやすい。その結果として、今の活躍につながっていると思う」
ニュービルだけではなく、36歳の竹内譲次も1月3日の横浜戦で19本のリバウンドをマーク。NBLでの日立サンロッカーズ東京(現サンロッカーズ渋谷)在籍時、2015年12月5日の西宮ストークス戦で18本を記録して以来、6年ぶりにキャリアハイを更新した。同じく移籍組である木下誠もその力を発揮しはじめており、チーム全体として上向いている。A東京に2連敗し、13勝15敗で西地区6位。ニュービルを中心にチームケミストリーが高まっている大阪であり、次に続く選手が出てくれば一気にチャンピオンシップ圏内へ食い込んでいくポテンシャルは感じられた。次戦は5位のシーホース三河、続いて7位の信州ブレイブウォリアーズと勝率が僅差のチームから白星を奪い獲り、勢いに乗って2月2日の琉球ゴールデンキングス戦を迎えたいところだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE